研究課題/領域番号 |
21K16520
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
宮本 光 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 登録医 (20803092)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ブレオマイシン / LPS / マクロファージ |
研究実績の概要 |
これまでに我々が確立したラットにブレオマイシン(3mg/Kg) を気管内投与した肺線維化 病態モデルに、正常肺ではほとんど影響を受けない低容量の Lipopolysaccharide: LPS(0.15mg/kg) を気管内投与することで急性肺障害を惹起する動物モデルにおいていくつかのケモカイン(慢性炎症の持続に関与する物質で間質性肺炎の予後不良因子とされている)の発現量は LPS 気管内投与のみでは 24 時間後に正常群に比較し 4 倍に増加するが、48 時間後には低下する。一方、ブレオマイシンを前投与し線維化を惹起した動物に低容量 LPS を気管内投与すると正常群に比較し 8 倍に上昇し、さらに 24-72 時間後にかけて上昇が遷 延することが判明した。 また我々はブレオマイシン肺線維症モデルにおいてシステイン修飾物質である低分子アミノ酸が抗酸化作用と TGFβ シグナルを抑制することで線維化抑制作用を示すことを報告している (TsukiokaT.Molecules.2017;22,543)。この物質は前述の急性肺障害モデルにおいていくつかのケモカインの発現を抑制した。また、肺組織中の IL-10 遺伝子の発現を検証し、これらの発現はブレオマイシンと LPS 投与群で著名に上昇することを見出した。IL-10 は M2 type の Mφ が産生する特徴的なサイトカインであり、肺線維症を基礎に発症する急性肺障害においては M2 type の Mφ がより優位に関与している可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施計画に記したラット肺胞細胞を用いたin Vitroの実験に関しては着手できていない。 しかし、線維症急性増悪のラットモデルにおけるMφの分極バランスの検討に関して進捗しており、令和4年度の計画としていた化合物の有効性の検討を並行して進めている。
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今後の研究の推進方策 |
マクロファージの分極バランスに加えて、ケモカインの発現動態を解析する。解析結果から、キーとなるケモカインを同定し産生細胞やその局在、産生量が判明することで、どの細胞をどのように制御すれば肺障害を回避、制御できるかを明らかにする。 また、新規化合物よる治療介入研究、肺胞 Mφ の細胞株 NR8383 を用いた in votro での研究に関しても研究実施計画に沿った研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラット肺胞細胞を用いた実験に着手できておらず、細胞に使用する予定であった金額を繰り越すことになった。 また、ケモカインの検討項目を当初予定していた項目より増加させる予定でり、その解析のために使用する予定である。
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