研究実績の概要 |
2021年度は本研究の研究実施機関において倫理審査の承認を得て、合計19例の研究対象者の登録を行った。そのうち、15例の切除不能進行・再発非小細胞肺癌患者において免疫チェックポイント阻害剤治療前、治療開始後3週、治療開始後9週に15mLの血液を採取し、末梢血リンパ球を分離した。残り4例においては検体採取を開始した。また、全19例において診断、治療経過、治療効果、有害事象の有無、予後の記録を同時に進めた。 血液検体採取が完了した15例中12例において、末梢血リンパ球の表面マーカーの解析をフローサイトメトリーにて行い、T細胞(CD3, CD8, CD4)、B細胞(CD19, CD20, CD38, CD138, CD27, IgD)、NK細胞、NKT細胞などのリンパ球分画の変化の解析を行なった。特にB細胞についてはclass switched memory B細胞、non-class switched memory B細胞、naive B細胞、transitional B細胞の分画を詳細に検討した。B細胞のサイトカイン産生能や免疫グロブリン産生能については、B細胞の割合が低い症例では単離が困難なことが予想されたので、細胞内染色での評価が可能な系を確立し、IL-10, TNF, IL-6の産生能とIgG, IgMの産生について2例で検討した。さらにこの2例においてT細胞と NK細胞を刺激し、細胞内染色によるサイトカイン(IFNg, TNF, IL-2)産生能についても解析を行なった。
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