研究実績の概要 |
本研究は免疫チェックポイント阻害剤治療を行なっている肺癌患者を対象に、治療開始前後のB細胞、T細胞の分画や機能を末梢血検体や生検検体で解析することで、治療効果の機序やバイオマーカーを解明することを目的としたものである。 2022年度は新たに7例の患者から研究参加の同意を取得し、合計27例の研究対象者の登録を行った。前年度から続いている症例も含めて、12例から免疫チェックポイント阻害剤投与前、投与後3週、投与後9週の血液検体から末梢血単核球の採取を行った。また11例に対して、末梢血リンパ球の表面マーカーの解析をフローサイトメトリーにて行い、T細胞(CD3, CD8, CD4)、B細胞(CD19, CD20, CD38, CD138, CD27, IgD)、NK細胞、NKT細胞などのリンパ球分画の変化の解析を行ない、前年度と合わせて合計24例で解析が終了した。末梢血由来のT細胞のサイトカイン産生能 (IFNgamma、TNFalpha、IL-2)、B細胞のサイトカイン産生能 (TNFalpha、IL-6、IL-10)やB細胞の免疫グロブリン産生能 (IgM、IgG)の解析については新たに1例で実施し、前年度と合わせて5例で終了した。 治療経過中に標的病巣の外科的生検を行った1例について、治療開始前後での組織検体のT細胞とB細胞の免疫染色を病理診断科と協力して行った。 これまで同意を取得した27例について、診断、治療経過、治療効果、有害事象の有無、定期的な予後調査の登録を行っている。 19例について、末梢血中のリンパ球数、CD8陽性T細胞やNK細胞数の変化と予後の関連について解析を行い、学会発表を予定している。
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