研究課題/領域番号 |
21K16526
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
東 陽子 東邦大学, 医学部, 講師 (30770002)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 慢性炎症性肺疾患 / 肺癌 / microbiome |
研究実績の概要 |
肺の慢性炎症を特徴とする間質性肺炎(IP)や慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、高率に悪性度の高い肺癌を合併し、手術後の合併症発症率や死亡率も高く、予後は極めて不良である。本研究では、IP・COPD合併肺癌の発生や進展、術後呼吸器合併症発症メカニズムにおいて気道microbiome(気道に存在する細菌や微生物の集団)が果たす役割を解明する。 肺癌手術症例の肺切除検体を採取し、気道microbiomeの分布と臨床病理学的因子や予後、術後合併症発症との関連性を検証。microbiomeの制御によるIP・COPD合併肺癌の術後合併症発症率の軽減と予後改善を目指している。 東邦大学医療センター大森病院で手術施行した切除可能肺癌症例(肺葉切除以上)を対象とし、2021年度は15例の臨床データ集積と肺切除検体を収集を行った。肺切除検体を用いたmicrobiome研究に関する報告が少ないため、至適検体の選定目的にパイロットスタディを施行。3例について切除肺の癌部・非癌部から組織検体を採取し、DNAとmicrobiomeの抽出およびデータ解析を行った。結果、検体として解析可能である事が判明したため、今後も検体採取を継続していく。臨床データについては、臨床病理学的因子(基本的患者背景、手術情報、抗菌薬使用情報、術後呼吸器合併症、病理組織学的所見、病理病期、術後治療)について登録を行った。また、肺癌や慢性炎症性肺疾患に関連する学会に参加して情報収集や発表を行うとともに、論文も発表している。引き続き対象症例の検体収集を行うとともに臨床情報についてもデータを蓄積する。費用と検体送付回数に配慮し、一定数の検体サンプルが収集できた時点でまとめてmicrobiome抽出・解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
至適検体の選定のため、収集した切除肺検体サンプルの一部についてmicrobiome解析を行った。解析可能であることが確認できたため、引き続き対象症例の検体収集を行うとともに臨床情報についてもデータを蓄積している。肺癌や慢性炎症性肺疾患に関連する学会に参加して情報収集や発表を行うとともに、論文も発表した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き対象症例の検体収集を行うとともに臨床情報についてもデータを蓄積する。費用と検体送付回数に配慮し、一定数の検体サンプルが収集できた時点でまとめてmicrobiome抽出・解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
肺切除検体を用いたmicrobiome解析に関する報告が少なく、至適検体や解析法を判定するために収集検体の一部を用いたパイロットスタディを先行したため、2021年度使用額が少なくなった。現行の検体サンプルで解析可能であることが判明したため、2022年度は検体採取を継続し、多数の検体解析を行う予定である。また、臨床データ解析や検体処理を効率化するため、研究補助員を採用し人件費を捻出する。
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