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2021 年度 実施状況報告書

神経ステロイドを用いた術後せん妄に対する新規治療戦略と作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K16536
研究機関高知大学

研究代表者

青山 文  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (60783735)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード術後せん妄 / 高齢者 / 神経ステロイド / 脳内神経炎症 / ミクログリア / Allopregnanolon
研究実績の概要

近年、高齢化社会の到来により特に問題となっている術後せん妄の新規治療薬に関する研究を実施した。術後せん妄は高齢者の手術後に高確率で発症し、術後認知症の発症および生命予後に関連する。しかし、未だ確立された薬物治療法は存在しない。
術後せん妄を発症する機序としては、手術侵襲に伴い脳内で生理的な範囲を超えた過剰な炎症性サイトカインが放出されることに基づく、脳内神経炎症仮説が有力である。そこで抗脳内神経炎症作用を有する新規治療薬として、神経ステロイドの一種Allopregnanolone (ALLO)の有効性を、高齢ラット術後せん妄モデルを用いて、静脈内投与と内服の両方の投与方法で比較検討することを目的とした研究を実施した。
高齢ラット術後せん妄モデルは、申請者らが開発・発表しており、高齢者の開腹手術を想定し、高齢ラットに開腹手術を実施した後、術後せん妄の主要な症状である注意力と認知力を評価する。
本年度は、ALLOの静脈内投与と内服の両方の投与が抗脳内神経炎症作用を有するかどうか、RT-PCRを用いて比較検討した。群分けは、①対照群 ②開腹手術群 ③開腹手術+ALLO腹腔内投与群(ヒトでの静脈内投与に該当) ④開腹手術+ALLO内服群(ヒトでの内服投与に該当)の4群を設定した。その結果、開腹手術後、ALLOの腹腔内投与(ヒトの静脈内投与に相当)と内服の両方で、脳内炎症性サイトカインの発現が低下することが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

高齢ラット術後せん妄モデルを用いて、①対照群②開腹手術群③開腹手術+ALLO腹腔内投与群(ヒトでの静脈内投与に該当)④開腹手術+ALLO内服群(ヒトでの内服投与に該当)に対するRT-PCRを実施し、③・④で有意に脳内炎症性サイトカインが低下することが判明した。

今後の研究の推進方策

当該年度で、まずRT-PCRを用いた神経ステロイドALLOの静脈内投与および内服の両投与方法の有効性を示した。今後、その作用機序解明のためのRNA-Seq解析を実施し、特にALLO誘導体の内服薬による抗脳内神経炎症作用を有する新規作用機序の解明を行う。

次年度使用額が生じた理由

本年度は比較的支出の少ないRT-PCRに特化した研究を実施し、順調に研究成果を得たことが主要な理由である。今後は支出の大きなRNA-Seq解析を含めた外注による研究内容を計画しているため、翌年度分の助成金と合わせて使用予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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