慢性痛は有効な治療法が確立されておらず、生活機能やQOLが低下した状態が長期化してしまうことで患者の個人的損失だけでなく社会経済的損失も甚大とされている。特に、精神疾患や心理社会的な問題が合併すると病態がより複雑になり難治化する。近年、オキシトシンが痛みの緩和作用や種々の精神疾患との関連でも注目されており慢性痛に対する治療的応用も期待されているが、動物モデルを用いた急性痛に対する鎮痛効果は明らかになっているものの、ヒトを対象とした慢性痛に対する有用性を検証した研究は非常に少ない。本研究では、実際の慢性痛患者を対象として痛みと心理社会的要因、そしてオキシトシンとの関連性を検討した点に意義がある。
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