研究課題/領域番号 |
21K16552
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
野口 智康 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (10822398)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 神経ブロック / 3Dプリンタ |
研究実績の概要 |
下歯槽神経ブロック(下顎半分の広範囲な麻酔)は歯科において重要な神経ブロックである。しかしながら、その成功率は様々であり、術者や患者様の状態によっても異なる。これはランドマーク法(解剖学的な指標を参考にした盲目的な手技)による神経ブロックが大きな原因であると考えられる。超音波診断装置を使った方法(エコー)も不可能ではないが咽頭部であり、術野が狭く、嘔吐反射も発現しやすい部位であり、現実的ではない。そこで本研究はCTデータと光学スキャナのSTLデータを使用し、『誰でも安全に確実に下歯槽神経ブロックを奏効させるためのIANBデバイス』を3Dプリンタで造形し、その有用性、安全性、コストパフォーマンスを検証することを目的とする。 研究計画として令和4年度10月まで にIANBデバイスの作成、令和3年度10月までに設計と造形の確立及び途中経過報告、令和4年度中旬に国内または、国際学会発表、令和4年度中に論文作成することとしている。現在、IANBデバイスの設計と造形の確立を終了し、研究対象者は3例である。デバイスの作成及び神経ブロックの準備中である。目標は5例であるため、今後も募集を続ける。デバイスの設計と造形、精度、費用に関する途中経過報告を第49回日本歯科麻酔学会(2021年10月9日-2021年11月11日 オンライン)で発表した。発表結果を以下に示す。設計から造形までの時間は約330分、費用は2720円であった。精度は、ノギスによる計測で-0.18 mm、CTデータ上で-1.05 mmの誤差であった。通法よりも時間と費用は消費するものの針先の位置の正確さから臨床応用する価値は十分にあるものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標の60%のデータが収集できていること、造形までのプロトコルが確立できていること、その過程を学会発表していることからおおむね順調に進展していることと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、症例数を増やし、さらなるデータ蓄積を行い目標の5例に到達するように努める。 また、第50回日本歯科麻酔学会で途中経過報告の予定である。 学会発表後は論文執筆を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始にあたり、初期費用が多くかかることが判明したため、前倒し請求をさせて頂いた。今年度分の残高は本来来年度使用予定であった学会発表、論文執筆、消耗品の購入に使用する予定である。
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