本研究は、脳科学的な根拠をもって前頭前野機能の低下や精神的脆弱性への介入の妥当性を検証し、介入方法や時期の適正化をめざすことによって遷延性術後痛発症の予防方法を開発することを目的とする。対象患者を比較的追跡が容易であると思われる乳房切除術後患者にしぼり、遷延性術後痛の中でも乳房切除後疼痛症候群を対象疾患とした。乳腺外科医と被検者の紹介および外来受診方法等について調整を行った。これにより本研究の被検者のリクルートを円滑に行う状況を作り出すことができた。 また、使用するNIRSを設置型からポータブル型に変更し、被検者負担が少なく、より脱落者が少なくなるよう調整した。申請者が以前に使用した設置型NIRSとは異なる機器となったため、プレ試験を繰り返しポータブル型NIRSのヘッドキャップの性状やプローベ配置の変更を繰り返し行った。これらにより、当初の目的であった前頭前野における脳血行動態変化をポータブル型NIRSを用いて測定することが可能となった。 疼痛の評価をNRSからPainVision(R)に変更し、より客観的な評価を目指すこととした。精神性脆弱性の評価項目としてPain Disability Scale(PDS)、Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)を追加した。 これらの調整を行った上で富山大学倫理審査委員会の実施承認を得た。研究を開始できる体制を整えることができた。
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