研究課題/領域番号 |
21K16561
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
田村 貴彦 高知大学, 医学部, 講師 (80614403)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | mitophagy / propofol / PRIS |
研究実績の概要 |
プロポフォールは、その薬物動態の特徴から短時間作用の鎮静剤として全身麻酔や集中治療室において非常によく使用されている。しかしながら、プロポフォールの高容量または長時間の投与は、「Propofol Infusion Syndrome (PRIS):プロポフォール注入症候群」を引き起こすと言われている。PRISは、発症頻度は非常に稀ではある(発症率 1.1%)が、プロポフォール投与により代謝性アシドーシス、心静止、心不全、横紋筋融解を呈する致死的な症候群(死亡率18-32%)である。過去には、日本においても集中治療室での小児死亡事例を引き起こし、社会問題にもなっている。PRISの発症リスクは若年者、代謝性アシドーシス、カテコラミンやステロイドの使用、敗血症患者、熱傷患者、頭部外傷患者などが挙げられる。また過去の報告では、無症候性のミトコンドリア病が PRISの発症因子であるとも言われている。PRIS発症の最大の謎は、プロポフォールを使用した患者全員がPRISを発症するわけではなく、ある特定の患者に発症するという点であり、この発症メカニズムについては現在も不明のままである。本研究の核心は、このPRISの発症メカニズムを解明することにある。プロポフォール投与が骨格筋のautophagyを賦活化するという報告はあるが、PRIS発症とautophagyとの関係については、確立された結論は出ていない。PRISの発生頻度自体は低いが、一旦発症してしまえば致死的な症候群である。しかし,PRISの発症メカニズムや治療法は現在でも不明のままである。本研究では、PRISの発症機序にmitophagy機能不全が関与しているという仮説を設定し、筋芽細胞とマウスを用いた実験にて検証する事を目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
臨床との兼ね合いで研究に充てる時間が減少しているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力が可能なスタッフが増えてきているため、研究時間の確保を依頼し、実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
医局の事情で市中病院に勤務していたため。大学病院へ戻ってきたため、本格的に機材などを購入し、基礎研究を再開する予定である。具体的には、まずwestern blotの機材とマウスの手配から始める予定である。
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