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2021 年度 実施状況報告書

敗血症性脳症とそれに伴う精神疾患の発症機序解明と制御性T細胞に着目した治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 21K16572
研究機関神戸大学

研究代表者

齋藤 雅史  神戸大学, 医学研究科, 助教 (80826321)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード制御性T細胞 / 敗血症 / 不安様行動 / 脳内炎症
研究実績の概要

敗血症マウスにおいて、後天的にCD4T細胞、CD8T細胞を欠失させるモデルを作成した。その結果、脳内のCD4T細胞は検出限界以下であったのに対し、CD8T細胞は約半分の減少であった。CD4T細胞を欠失させたマウスではマイクログリアの活性が敗血症誘導から30日目まで維持されており、IL-1βは他群と比較して高値である一方、IL-10は低値であった。すなわち、脳内にCD4T細胞が枯渇すると敗血症性脳症が遷延していた。これに伴い行った敗血症マウスの行動試験(ショ糖水選択試験と強制遊泳試験)では、CD4T細胞を欠失させたマウスでは、不安症および不安様行動の回復が遅延した。
なぜ、敗血症後の脳にT細胞が増えるのか?という疑問に応えるため、まず、脳内T細胞の増殖マーカーを解析した。その結果、増殖マーカーであるKi67発現は、CD4T細胞はCD8T細胞と比較して、極めて低かった。このことから、CD4T細胞は敗血症後、脳内に浸潤してくることが予測された。そこで脳内のケモカインを敗血症誘導から経過時間的に調べたところ、Cxcl9, 10が15日目に、Cx3cl1が30日目に増加していた。これをもとに、T細胞のケモカイン受容体発現を調べたところ、ターゲットとする制御性T細胞ではCXCR3の発現が高かった。このことから、Cxcl9,10-CXCR3 axisでTregは浸潤したことが示唆された。その由来を明らかにするため、脳のdraining lymph nodeである頸部リンパ節の解析を行った。その結果、敗血症誘導から20日目において頸部リンパ節のCXCR3陽性制御性T細胞の割合が顕著に増加していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

敗血症マウスの不安様行動の増悪・回復に脳のCD4T細胞が関与していることをクリアに示すことができた。また、CD4T細胞が浸潤により増加すること、そのメカニズムとしてCXCL-9.-10とCXCR3 axisが予測できた。

今後の研究の推進方策

DEREGマウスを用いて、制御性T細胞が敗血症マウスの不安様行動の回復に重要であることをよりクリアに示す必要がある。また、どこから脳に浸潤してくるのか?という疑問に応えるため、脳のdraining lymph nodeである頸部リンパ節での解析を進めることと、脳TregのT細胞受容体のvariantを各組織(頸部リンパ節、血液、脾臓、胸腺など)と比較する。

次年度使用額が生じた理由

発注済みの試薬が届かなかったため

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Does Sepsis-Associated Encephalopathy Begin and End with T Cells?2021

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Saito
    • 雑誌名

      Journal of Mucosal Immunology Research

      巻: 3 ページ: -

    • 査読あり
  • [学会発表] 敗血症マウスの脳内に浸潤したT細胞は、敗血症性脳症を抑制し、精神障害の回復を促進する2021

    • 著者名/発表者名
      齋藤雅史
    • 学会等名
      第35回 日本shock学会
  • [学会発表] 敗血症モデルマウスにおいて、 脳内に浸潤したT細胞は敗血症性脳症とそれに伴う 不安様行動の回復を促進する2021

    • 著者名/発表者名
      齋藤雅史
    • 学会等名
      外科代謝栄養学会
    • 招待講演
  • [学会発表] CX3CR1high macrophage and Treg in the brain may help to improve anxiety-like behavior in septic mice2021

    • 著者名/発表者名
      齋藤雅史
    • 学会等名
      International Endotoxin and Innate Immunity Society
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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