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2021 年度 実施状況報告書

「制御されたネクローシス」を標的とした人工呼吸誘導性臓器障害の予防法開発に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 21K16575
研究機関横浜市立大学

研究代表者

玉田 尚  横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (70439181)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワードARDS / VILI / regulated necrosis / DAMPs
研究実績の概要

本研究は人工呼吸によるARDS肺胞上皮細胞死の「制御されたネクローシス」増強から遠隔臓器障害惹起と悪循環形成までの流れを検証したうえで,人工呼吸開始前の「制御されたネクローシス」を標的とした阻害剤が肺と遠隔臓器の障害を抑制するかを検討し,その介入標的としての概念実証を目指した.
まず,LPS(25μg)経気管投与24時間後に人工呼吸を6時間施行し,気管支肺胞洗浄液(以下BALF)中の炎症性メディエーターやタンパク濃度の定量を行うことで肺傷害の程度を評価した.人工呼吸は,低容量肺保護換気群(以下PV:1回換気量 10 ml/kg,PEEP 5 cmH2O,リクルートメント操作あり)と高容量換気群(以下IV:1回換気量 40 ml/kg,PEEP 0 cmH2O,リクルートメント操作なし)とした.
人工呼吸がARDS肺組織に与える傷害であるが,肺胞上皮細胞傷害の指標であるRAGEや,肺胞透過性亢進の指標であるIgMはPVに比べIVで有意に上昇し,LPSによる傷害を増強したことから,IVは肺に対して傷害を与え,ADRSにおける傷害をさらに増悪させることが示唆された.人工呼吸が肺胞上皮細胞のネクローシスに与える影響であるがBALF中のCK18フラグメントの定量を行った.全細胞死の指標となるM65はLPS非投与下では,PVとIVで有意な変化はなかったが,LPS投与下では,IVにおいて有意にM65が上昇し,LPSによる傷害を増強させた.一方,アポトーシスの指標となるM30はLPS投与,非投与にかかわらずIVにて有意に上昇した.その結果よりIVはLPS非投与下では,アポトーシスを誘導するが,LPS投与下ではネクローシスを誘導した.IVが元々の肺の状態により,異なった細胞死を誘導することが示唆された.
現在,ARDS下のIVによるネクローシスが「制御されたネクローシス」であるかを検討中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の予定では,遠隔臓器障害の評価まで行う予定としていたが,「制御されたネクローシス」の同定実験が遅れているため.

今後の研究の推進方策

「制御されたネクローシス」の同定を行い,肺・遠隔臓器障害の検討および制御されたネクローシスに対する介入による臓器障害抑制効果の検討を行う.
また,IVが元々の肺の状態により,異なった細胞死を誘導することが示唆されたため,その原因検索を行う.

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた遠隔臓器障害の検討や,制御されたネクローシスへの介入による臓器障害抑制効果の検討について,次年度に行う方針となったため次年度使用額が生じた.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] COVID-19によるARDSにおける肺胞上皮細胞死機構と抗DAMPs治療の可能性の検討2022

    • 著者名/発表者名
      東條 健太郎,山本 夏啓,玉田 尚,水原 敬洋,阿部 美蓉,後藤 隆久
    • 学会等名
      第49回日本集中治療医学会学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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