研究課題/領域番号 |
21K16576
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
松山 匡 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50829025)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 救急医療 / 心停止 / 心肺蘇生 / 生理学的モニタリング |
研究実績の概要 |
現在の心肺蘇生法は、個々の患者要因を考慮せず均一な方法(目標)で行われている。一方近年心肺蘇生法は他の疾患同様、個々の患者の素因や状態に応じて治療方針を変更するテーラーメイドの心肺蘇生法が注目を集めている。 本研究では心肺蘇生中の複数の生理学的指標を測定し予後との関連を評価することで、「心肺蘇生中の最適な生理学的指標の検討およびその指標に基づいたテーラーメイドの心肺蘇生法の有用性を検討すること」を目的としている。 研究初年度となる令和3年度には、事前に行なっていた研究ではあるが、院外心停止患者に対する心肺蘇生中の動脈圧静脈圧を測定し、動脈圧優位の心肺蘇生をおこなった方が予後改善につながる可能性を示した。また平均動脈圧と平均静脈圧差が大きいほど心拍再開の可能性が高まる可能性を示し、発表した。 さらに院外心停止レジストリのデータを使用して、心拍再開後に行う体温管理療法の体温管理方法について、各因子の違いにおいて治療効果が異なるかを検討した。結果として1082名が解析対象となり、初期ショック適応波形患者において、表面冷却および血管内冷却で治療効果に差が認められなかったが、一方初期ショック非適応波形患者においては血管内冷却がより良い予後との関連を認めた。その他患者の年齢、心肺蘇生過程により効果が異なるかを検討し、経皮冠動脈形成術を施行した初期ショック非適応波形患者では血管内冷却がより良い予後との関連を認めた。これらの結果により心肺蘇生法は個々の状態に応じて変化させることが高い効果を示す可能性を提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文発表および症例集積、解析など予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度にはさらに症例収集を行い複数本の論文発表を行う。 また、心電図波形の解析など新たな研究も追加予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19流行により研究成果発表に遅れが生じたため、論文掲載費と考えていた分を次年度に繰り越した。すでに前年度より投稿しており、すでに年度が変わった後に出版されたため、その掲載費用に充てる。 また、COVID-19流行により施行予定であった解析の一部が未施行となったため、購入予定であった物品が未購入となっており、次年度で購入予定である。
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