研究課題/領域番号 |
21K16585
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
千田 篤 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (00728040)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エクソソーム / 外傷出血モデル / 脂質解析 / mRNA解析 / タンパク解析 |
研究実績の概要 |
280-300mg のオスの ラットを開腹し上腸間膜動脈の血流遮断を行った。1時間後再開腹し遮断を開放し 2 時間の 再灌流期を設け腸管リンパ液の採取を行った。血流遮断時に確実に腸管血流が止まっている事を確認するため、レーザードップラー計にて腸管血流が血流遮断時間全体を通して遮断されている事を確認した。また再還流後の腸管が壊死に至っていない事を病理学的確認を行うとともに、肺障害が起きている事を確認するために肺障害の病理学的に確認するとともに肺胞洗浄液中の炎症細胞の増加を確認している。腸管上皮細胞由来の細胞において虚血、再還流後のエクソソームを回収し、エクソソームの同定および定量を電子顕微鏡、ウエスタンブロット、粒子トラッキング装置を用いて行った結果、目的とするのサンプルが十分量得られている事が確認された。さらに得られたサンプルに生理的活性がある事を確認するため単球系細胞におけるNF-kB産生が行われている事を確認した。さらに得られた検体についてmRNA解析、タンパク解析、脂質解析を行った結果mRNAについては大きな変化はないものの、多様な炎症に関わるタンパク質の量変化が確認された。また不飽和脂肪酸含有LPCの増加を確認した。上記内容については学術論文にて発表を行なった。 single cell RNA-seqを行うためサンプルについての実験に適した条件および、生理活性を調べるために必要となる様々な条件下におけるエクソソームの採取作業を行なっていたが、十分な検体量が得られないため安定した実験結果が得られない現状であるため、現在実験系の見直しを行なった上での検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
虚血再還流モデル、エクソソーム抽出方法などは概ね定まり、その生理活性の確認、肺障害の程度およびエクソソーム内容物についてのタンパク解析、脂質解 析、miRNA PCRなどによる変化についての解析は終えている。一方で当初予定していたよりもエクソソームの回収率が低く、かつ期待していたものと比べ生理活性が弱かったため本実験を行うために必要なエクソ ソームの回収に時間がかかっている状況である。共刺激など別の方法による刺激を考慮して引き続き十件を行なっていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きエクソソームを着実に回収していき、純度の高い検体にて実験を行う予定である。一方、single cell RNA解析にこだわらず、エクソソームの生理活性および生理機能を測定する実験系を立ち上げていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
検体の十分量の採取に時間がかかっているため、その次の段階で使用する予定の実験器具などのリソースを使用できない状況にある。実験系がうまく作用する見込みがついてからこれらを購入する予定であるため次年度使用額が生じている。
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