我々の研究では、糖蛋白結合レクチンの他にもさまざまな手法を用いて、臓器間での血管内皮グリコカリックスの特徴や機能の違いを詳しく調査した。免疫組織化学や電子顕微鏡を駆使し、各臓器の毛細血管内皮細胞表面のグリコカリックスの厚さや微細構造を詳細に観察しました。その結果、脳や肺などの一部の臓器では、グリコカリックスの厚さが比較的薄く、微細構造も緻密であることが明らかになった。一方、腎臓や肝臓など他の臓器では、グリコカリックスの厚さがより厚く、より複雑な構造を示すことが観察された。さらに、各臓器の血管内皮グリコカリックスの構成糖蛋白の種類や量にも着目した。糸球体や尿細管などの腎臓組織では特定の糖蛋白が豊富に存在し、その他の臓器とは異なる組成パターンを示した。この糖蛋白の違いが、腎臓における毛細血管の機能や生理学的役割に関与している可能性が示唆された。さらに、腎臓以外の臓器(膵臓、心臓、肝臓、大腸、肺、脳)でも同様のアプローチを用いて、血管内皮グリコカリックスの特徴や糖蛋白の違いを調査した。その結果、各臓器や組織によって異なるグリコカリックスの構造や糖蛋白の組成が観察された。この知見は、臓器特異的な血管内皮の機能や疾患における役割に関する理解を深める上で重要な一歩とななった。以上の研究結果から、臓器間の血管内皮グリコカリックスの違いが、その臓器の特異的な機能や病態生理に関与している可能性が示された。
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