これまで軽症頭部爆傷に関しては、本研究室で所有する衝撃波発生装置を用いて作成した動物モデルにおいて、食欲低下、体重減少、亜急性期から慢性期にかけて行動学的異常をきたし、超高磁場MRI、免疫組織学的検査で行動に関わる異常所見を同定したモデルを開発し、2021年に発表した(Brain Injury 2021)。 現在、軽症頭部爆傷の臨床的問題は反復外傷であり、当教室においても新規にモデルを開発することが必要と考えた。2021年度は頭部爆傷モデルの安定化および反復モデルの新規作成のため、モデルが受けた侵襲を毎回モニタリングするための装置改良をおこなった。本改良により動物モデルに衝撃波を作用させた際に、モデルの一部を通過した衝撃波を必ず計測できるようになり、受けた侵襲の程度を安定させることが可能になった。 具体的には衝撃波発生ノズルの直下に1μ秒単位で検出する圧力センサーを新たに組み込み、衝撃波の圧を正確に測定できるかの予備実験を行い無事計測できることを確認した。また、ノズルの形状を修正し装置から発生する衝撃波の威力を今までより安定するよう調整した。上記により一定の侵襲がモデルに加わり、かつそれをモニタリングすることが可能なシステムに改変することができた。当初の研究計画どおり、ここから軽症頭部外傷の反復モデルの作成を開始し、モデルの安定化および評価を行い、治療介入へつなげていく予定で進めている。
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