研究課題/領域番号 |
21K16589
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
宮嶋 久雄 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (80874362)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳血管障害 / くも膜下出血 / サイトカイン / 交感神経 |
研究実績の概要 |
くも膜下出血(SAH)直後の合併症の1つとして発作性交感神経過活動(PSH)が知られているが、その病態メカニズムは未だ不明な点が多い。一方、SAH患者を用いた臨床研究や、SAHの動物モデルを用いた研究で、脳脊髄液や血液中のIL-17の濃度上昇が報告されている。そこで、「SAHモデル動物を用い、炎症性サイトカインIL-17分泌細胞を同定すること」、及び「交感神経系の中枢である、視床下部室傍核の活性化を介したPSH発症機序を解明すること」を目指す。炎症性サイトカインIL-17の分泌細胞を同定すること」を目的として実験を開始した。 まず初めに、先行研究を参考にSAHモデルマウスを作製した。最適な病態モデルのための条件検討を行い、SAHモデルを確立することができた。そして、脳実質、髄膜、血液、脳脊髄液における各種サイトカインやカテコラミンの発現量変化をELISA法や定量的RT-PCR法により解析するための予備実験を行った。また、本実験に使用する遺伝子改変マウスを導入し、繁殖を行っている。さらに、IL-17に対する新規抗体の作製も行っており、順調に進展している。今後はこれまで確立した実験系と作製中の遺伝子改変マウス及び抗IL-17抗体を使用した解析を展開していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って、初年度の研究は遂行できており順調に進んでいる。条件検討を行い、最適なSAHモデルマウスを確立することができた。また、予備実験から、各種サイトカインやカテコラミンの発現量変化を解析するための実験系を確立できた。したがって、今後の実験に向けての準備は整っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、SAHモデルマウスを用いて、脳実質、髄膜、血液及び脳脊髄液を採取し、IL-17とカテコラミン発現量の経時的変化をELISA法や定量的RT-PCR法により解析する。交感神経系の活動性は、テレメトリー装置を用いて、自由行動下でのマウスの心電図、体温、活動量を計測する。そして、IL-17の発現量変化に基づき、SAHの発症後の各時点におけるIL-17分泌細胞を、IL-17レポーターマウスと免疫染色法、フローサイトメトリーにより同定する。また、遺伝子改変マウスや作製中の新規抗IL-17抗体を用いて、IL-17シグナル経路の阻害によるPSH予防効果を検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した遺伝子改変マウスが予定より安価で入手できたため、使用額が予定より少なくなった。次年度は新たな実験系が多く予定より多額の研究費の使用を予定している。
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