本研究では、ヒト急性単球性白血病細胞株(THP-1)に由来するマクロファージ様細胞(THP-1マクロファージ)に対する、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)への応答を調べることにより、敗血症患者血清に存在するノッド様受容体P3(NLRP3)インフラマソーム抑制を引き起こす生理活性物質を探索し、敗血症性免疫麻痺の病態解明を試みる。さらに、同定されたNLRP3インフラマソーム抑制に関わるタンパクまたはシグナルに対する阻害薬を用いることにより、免疫賦活効果を評価し敗血症の新規治療法の確立を目指す。 本年度は、THP-1細胞のマクロファージへの分化を複数の条件下で確認し、マクロファージへの分化のマーカーを定量的RT-PCR法、ウエスタンブロッティング法により解析した。分化のマーカーとしてCD14、CD36、CD11bなどが有用であった。次に、敗血症患者血清下で免疫麻痺を生じたマクロファージと、マクロファージの分極におけるM2マクロファージ(抗炎症性)との類似性に着目し、まずTHP-1マクロファージの分極におけるマーカーを解析した。THP-1マクロファージをlipopolysaccharide(LPS)、IFN-γによりM1マクロファージ(炎症性)に、IL-4、IL-13によりM2マクロファージに分化させ、定量的RT-PCR法によりArginase、iNOs、MRC-1などのマーカーを評価した。今後、DAMPs刺激に対するNLRP3インフラマソーム抑制が確認されたTHP-1マクロファージにおける分極のマーカーを定量的RT-PCR法、ウエスタンブロッティング法により解析する。
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