研究課題/領域番号 |
21K16594
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
方山 真朱 自治医科大学, 医学部, 講師 (70645704)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 四次元呼吸ダイナミックCT / 4D-CT / 自発呼吸関連肺傷害 / 人工呼吸 / 急性呼吸不全 / 肺保護換気戦略 |
研究実績の概要 |
本研究は、COVID-19に代表される急性呼吸不全に対して時間軸を有する四次元呼吸ダイナミックCT (4D-CT)を用いて自発呼吸下で撮影することで、肺胞が換気により変化する動態を全肺野において解析し、自発呼吸誘因性肺障害(P-SILI)が肺の各領域でどのように発生しているか、可視化・定量化することを目的としている。 現時点まで自発呼吸下で20症例に対して検査を行うことで、自発呼吸の様式により様々な換気動態を示すことが判明した。そのうち1症例においてP-SILIで認められるpendelluft現象を4D-CTで可視化・定量化することに成功した。本研究結果は第49回日本集中治療医学会学術集会 (2022年3月18-20日, 仙台)で、『四次元呼吸ダイナミックCT(4D-CT)でpendelluft現象を可視化する取り組み -症例報告より-』として発表した。 さらに今まで解明されていなかった人工呼吸管理中の片側横隔膜の脆弱性による横隔膜の奇異性運動を可視化することに成功した。この病態もP-SILIと関連している可能性があり、今後の人工呼吸管理を行う上で重要な知見となると考えている。本研究結果は、現在American Journal of Respiratory and Critical Care Medicineに投稿し査読中である。 これらの解析結果を踏まえて人工呼吸管理中の4D-CTの有用性を第49回日本集中治療医学会学術集会 (2022年3月18-20日, 仙台)で、『シンポジウム4 人工呼吸とモニタリング. 四次元呼吸ダイナミックCTを用いた肺保護換気戦略の提案』として講演した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で20症例の4D-CT検査を行った。さらに症例数を蓄積し、画像解析ソフトで詳細に検証する予定である。既に自発呼吸による換気動態を可視化・定量化することに成功しており、得られた結果を順次発表している。COVID-19による影響のため、想定よりも進捗が遅い印象もあるが、概ね事前に想定された研究結果が得られている。今後、学術論文として投稿する準備を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
自発呼吸下で4D-CTを撮影する方法は確立されており、順調に経過している。COVID-19による診療制限の影響を受けていたが、さらに症例数を蓄積させていく予定である。画像解析ソフトでの解析に時間を要しているため、より効率的に解析できるような手法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
統計解析に必要なソフトウェアの購入が不要になったこと、研究実施に必要な医療器具の費用を削減することに成功したことが大きな要因である。翌年度分として、画像解析を行うためのソフトウェアや医療器具のレンタル期間を延長することで更なる症例収集と効率的な解析を推進する予定である。
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