研究課題/領域番号 |
21K16604
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
永田 雄一 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20834659)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オルガノイド / 下垂体腺腫 |
研究実績の概要 |
これまでに25例の下垂体腺腫のオルガノイドモデルを作成した。概ね3ヶ月程度の培養維持は可能となっている。組織学的にはゴナドトロピン産生下垂体腺腫の培養維持が最もしやすいことが判明した。成長ホルモン産生下垂体腺腫も、形態学的な維持は可能であるが、3ヶ月経過時点でのホルモン分泌能は下がりやすい傾向にある。副腎皮質刺激ホルモン産生下垂体腺腫は症例数が少なく詳細は不明であるが、これも3ヶ月程度の培養維持が可能で、3ヶ月経過時点でのホルモン分泌能は比較的保たれる症例が存在する。またMib-1 LIの高い腫瘍であっても、一概に培養維持が容易であるという訳ではないことが明らかとなっている。 3D培養のための足場としては基本的にはマトリゲルを使用しており、培養液として様々な種類の培養液を試しているが、最適な培養方法の樹立には未だ至っていない状況である。よって今後さらなる培養期間延長のために、各種アミノ酸や成長促進因子の添加を行い、最適な培養方法を樹立していく。 得られたオルガノイドモデルの性質としては、ホルモン分泌能については上記の通りである。下垂体前葉ホルモンに対する各種免疫染色を施行しているが、一般にホルモン分泌能を反映して、3ヶ月培養時点での染色性は乏しくなる傾向にある。Mib-1染色でも染色性は乏しく、オルガノイドモデルの増殖性の観点からも、悪性転化は否定的である。機能性下垂体腺腫については、ホルモン分泌能をいかに保って培養維持を行うかが、今後の課題になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに25例の下垂体腺腫のオルガノイドモデルを作成した。概ね3ヶ月程度の培養維持は可能となっている。組織学的にはゴナドトロピン産生下垂体腺腫の培養維持が最もしやすいことが判明した。成長ホルモン産生下垂体腺腫も、形態学的な維持は可能であるが、3ヶ月経過時点でのホルモン分泌能は下がりやすい傾向にある。副腎皮質刺激ホルモン産生下垂体腺腫は症例数が少なく詳細は不明であるが、これも3ヶ月程度の培養維持が可能で、3ヶ月経過時点でのホルモン分泌能は下がりやすい傾向にある。またMib-1 LIの高い腫瘍であっても、一概に培養維持が容易であるという訳ではないことが明らかとなっている。 3D培養のための足場としては基本的にはマトリゲルを使用しており、培養液として様々な種類の培養液を試している。今後さらなる培養期間延長のために、各種アミノ酸や成長促進因子の添加を考慮していく予定である。現時点では想定していないが、安定かつ長期の培養法樹立が困難な場合には、レトロウイルスベクターを用いた遺伝子導入による不死化プロセスも考慮する。
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今後の研究の推進方策 |
今後さらなる培養期間延長のために、各種アミノ酸や成長促進因子の添加を考慮していく予定である。現時点では想定していないが、安定かつ長期の培養法樹立が困難な場合には、レトロウイルスベクターを用いた遺伝子導入による不死化プロセスも考慮する。 今後の研究推進としては、上記方法でさらなる培養精度を上げつつ、作成したオルガノイドモデルが臨床上の性質を模倣したモデルとなっているかの確認を進めていく。具体的には、薬剤反応性の確認や、免疫染色を用いた病理組織学的特徴の確認を進めていく予定である。機能性下垂体腺腫については、ホルモン分泌能をいかに保って培養維持を行うかが、今後の課題になると考えられる。 その後は、樹立されたオルガノイドモデルを用い、薬剤反応性・抵抗性メカニズムの解析に移行する予定である。また薬剤反応性の解析に適さないゴナドトロピン産生下垂体腺腫に対しては、siRNAを用いた特定遺伝子のノックダウンを行い、オルガノイドモデルの増殖能に変化を来たすかどうかも評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
作成した下垂体腺腫オルガノイドの種類に偏りがあり、現時点で全下垂体前葉ホルモンに対する抗体を必要としなかった。そのため、抗体を購入する費用が一部不要となり、助成金の一部が余剰分として残存している。 未購入の抗下垂体前葉ホルモン抗体は翌年度以降に購入が必要となるため、余剰金はこれに充てる予定としている。
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