研究計画通り実験を遂行した。 オスC57BL/6マウスを用い血管内穿孔くも膜下出血(SAH)モデル及びshamモデルを作成した。上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤投与によりSAHモデル作成24時間後の神経所見及び脳浮腫の改善、神経細胞アポトーシス数の抑制、SAH72時間後の神経所見の改善及び神経細胞アポトーシス数の抑制が見られることを確認した。 次に、SAH後のEGFR活性化の下流因子の検索を行った。アポトーシスを起こしている神経細胞におけるterminal deoxynucleotidyl transferase-mediated d-UTP nick-end labeling(TUNEL)法及びcleaved-caspase 3の発現、EGFR/Nuclear factor-kappa B (NFkB)-inducing kinase/NFkB経路の発現をウエスタンブロット法及び免疫染色で確認した。NFkBのisoformのうち、phosphorylated-p65は主に変性神経細胞に発現していた。これらのことより、SAH後の神経細胞アポトーシスにおけるEGFR/NFkB-inducing kinase/NFkB経路の関与が示唆された。 これらの実験結果を論文にまとめStroke誌に投稿し受理された。 さらにSAH後の病態において、EGFRのリガンドの一つであるマトリセル蛋白テネイシンC(TNC)に着目し研究を進めた。TNCはSAH動物モデルにおけるvasospasmやearly brain injuryへの関与、SAH患者髄液中での濃度上昇が報告されている。こちらの結果も今後論文投稿を予定している。
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