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2021 年度 実施状況報告書

ヒト頭蓋骨由来間葉系幹細胞の微小重力環境培養を応用した神経再生効果の解明と応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K16609
研究機関広島大学

研究代表者

光原 崇文  広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (80571801)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード神経再生 / 頭蓋骨 / 間葉系幹細胞 / 脊髄損傷
研究実績の概要

ラット頭蓋骨より頭蓋骨由来間葉系幹細胞(rcMSC)を、比較対象としてのラット骨髄由来間葉系幹細胞(rbMSC)を脛骨および大腿骨骨髄より樹立し、遺伝子発現解析による特性評価を行った。脊髄損傷モデルラットを作成し、脊髄損傷1日後にrcMSCまたはrbMSC、PBSのみの3群に分けて投与を行った。移植効果の判定には運動機能評価および電気生理学的評価としてmotor evoked potentialの測定を用いた。脊髄損傷28日後に脊髄組織を回収し、組織学的評価による損傷領域の比較を行った。また、間葉系幹細胞(MSC)移植翌日の脊髄組織を用いて遺伝子解析を実施し、MSCの作用機序を検討した。【結果】rbMSCと比較し、rcMSCは神経栄養因子の高い発現を認めた。rcMSC移植を行った脊髄損傷モデルラットでは、運動機能評価、電気生理学的評価ともに有意な神経機能回復が認められ、損傷領域の有意な縮小が認められた。rcMSC移植後翌日の脊髄組織では、TNF-αやIL-1βなどの細胞死に関与する炎症性サイトカインの発現が抑制された。【考察】rcMSCはすでに報告されているrbMSCと比較して、脊髄損傷に対する高い移植効果を認めた。その機序として、急性期における神経栄養因子を介した抗炎症・抗細胞死作用がその後の神経機能回復を誘導する可能性が示唆された。以上結果を論文化した(Maeda Y., Otsuka T., Takeda M., Okazaki T., Shimizu K., Kuwabara M., Hosogai, M., Yuge, L., Mitsuhara, T. Transplantation of rat cranial bone-derived mesenchymal stem cells promotes functional recovery in rats with spinal cord injury. Sci Rep. 2021;11(1):21907)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脊髄損傷モデルラットへの頭蓋由来間葉系幹細胞投与効果をまとめ、論文化した。頭蓋間葉系幹細胞は微小重力環境に暴露することでどのような特性を獲得するかについて、微小重力環境下で培養したヒト頭蓋間葉系幹細胞を脳梗塞モデルラットに投与し、その移植効果について検討中である。

今後の研究の推進方策

微小重力環境環境下で培養した頭蓋間葉系幹細胞を脳梗塞モデルラットに投与し、1G環境下で培養された頭蓋間葉系幹細胞と、微小重力環境環境下で培養された頭蓋間葉系幹細胞を脳梗塞1日後に尾静脈より投与して評価を行う。移植効果判定にはmodified neurological severity score (mNSS)による運動機能評価等を行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症により社会的情勢が不安定な中、各種学会活動および出張等の旅費を使用しなかったこと、細胞培養のためのコーティングディッシュなど研究器機供給が滞ったことから、研究の遂行に支障が生じた。2022年度は脳梗塞モデルに対する間葉系幹細胞投与のメカニズム解明のための、in vitro、in vivoの研究を進めていく。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Transplantation of rat cranial bone-derived mesenchymal stem cells promotes functional recovery in rats with spinal cord injury2021

    • 著者名/発表者名
      Maeda Yuyo、Otsuka Takashi、Takeda Masaaki、Okazaki Takahito、Shimizu Kiyoharu、Kuwabara Masashi、Hosogai Masahiro、Yuge Louis、Mitsuhara Takafumi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: 21907

    • DOI

      10.1038/s41598-021-01490-1

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A novel bone-thinning technique for transcranial stimulation motor-evoked potentials in rats2021

    • 著者名/発表者名
      Maeda Yuyo、Otsuka Takashi、Mitsuhara Takafumi、Okazaki Takahito、Yuge Louis、Takeda Masaaki
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: 12496

    • DOI

      10.1038/s41598-021-91780-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comparisons of Neurotrophic Effects of Mesenchymal Stem Cells Derived from Different Tissues on Chronic Spinal Cord Injury Rats2021

    • 著者名/発表者名
      Otsuka Takashi、Maeda Yuyo、Kurose Tomoyuki、Nakagawa Kei、Mitsuhara Takafumi、Kawahara Yumi、Yuge Louis
    • 雑誌名

      Stem Cells and Development

      巻: 30 ページ: 865~875

    • DOI

      10.1089/scd.2021.0070

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 頭蓋骨由来間葉系幹細胞を用いた神経再生医療とロボティクスリハビリテーション2021

    • 著者名/発表者名
      大塚貴志、光原崇文、中川慧、栗栖薫、 弓削類
    • 雑誌名

      BIO Clinica

      巻: 36 ページ: 372-376

  • [学会発表] 模擬微小重力環境で培養したヒト頭蓋骨由来間葉系幹細胞による 脳梗塞モデルラットへの移植効果の検討2022

    • 著者名/発表者名
      桑原政志、光原崇文、大塚貴志、岡崎貴仁、武田正明、 清水陽元、細貝昌弘、前田雄洋、河原裕美、堀江信貴、弓削類
    • 学会等名
      第21回日本再生医療学会総会
  • [学会発表] 脊髄損傷モデルラットにおけるMEP測定閾値の同定2022

    • 著者名/発表者名
      前田雄洋、武田正明、光原崇文、岡崎貴仁、桑原正志、 細貝昌弘、大塚貴志、河原裕美、弓削類、堀江信貴
    • 学会等名
      第21回日本再生医療学会総会
  • [学会発表] ラットおける、経時的で安定したMEP測定の新たな手技の確立2021

    • 著者名/発表者名
      前田 雄洋, 武田 正明, 大塚 貴志, 桑原 政志, 細貝 昌弘, 清水 陽元, 光原 崇文, 岡崎 貴仁, 弓削 類
    • 学会等名
      第80回日本脳神経外科学会総会
  • [学会発表] RAT CRANIAL BONE-DERIVED MESENCHYMAL STEM CELL TRANSPLANTATION PROMOTES FUNCTIONAL RECOVERY IN SPINAL CORD INJURY MODEL RATS2021

    • 著者名/発表者名
      Yuyo Maeda, Takafumi Mitsuhara, Takashi Otsuka, Masaaki Takeda, Takahito Okazaki, Kiyoharu Shimizu, Masashi Kuwabara, Yumi Kawahara, Koichiro Tsuji, Louis Yuge
    • 学会等名
      ISSCR 2021 Annual Meeting
    • 国際学会
  • [備考] 広島大学大学院医系科学研究科脳神経外科学 神経再生研究グループ

    • URL

      https://shinkeisaisei.hiroshima-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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