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2022 年度 実績報告書

悪性腫瘍の浸潤転移を抑制するタンパク質CLIC2をもとにした膠芽腫治療薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K16611
研究機関国立研究開発法人国立循環器病研究センター

研究代表者

尾崎 沙耶  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 専門修練医 (50898799)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワードCLIC2 / 脳腫瘍 / 浸潤 / MMP
研究実績の概要

CLIC2は細胞内に局在する塩化物イオンチャネルタンパク質ファミリーの一種として見出されたもので、ヒトとラットには存在するがマウスにはない遺伝子である。イオンチャネルタンパク質とされながらも、そのチャネル形成への関与については疑問の点が多く、生物学的意義は不明であった。本研究では、我々が創出したラットグリオーマ細胞C6をWistarラット新生仔背部皮下に移植すると4週間以内に肺転移が生じるモデルにおいて、背部の原発巣と肺転移巣の腫瘍細胞の遺伝子発現をRNAseqで解析し、CLIC2が原発巣で高発現していることに着目した。上記肺転移モデルに加え、C6細胞をWistarラット新生仔脳内に移植することで作成する脳腫瘍モデルで、C6細胞にCLIC2を強制発現させると予後が大きく改善した。CLIC2はC6細胞内ではゴルジ体または分泌顆粒に局在し、細胞外に分泌されること、MMP14に結合しその活性を抑制することでがん細胞の転移浸潤を抑制することを明らかにし、遺伝子組み換えCLIC2タンパク質は、ヒト悪性グリオーマ細胞株の細胞外マトリックス破壊による浸潤能を抑制することを示した。これらの結果から、MMP14の安全な阻害剤としての研究を進め、同じCLICファミリーであるCLIC4にはMMP14活性がなく、逆に上昇させることを確認した。
しかし、正常Wistarラット及びヒト脳組織においてCLIC2は主にマイクログリアに発現しており、CLIC2タンパクの添加で貪食能および浸潤能の亢進やMMP9が活性化され、CLIC2ノックダウンによってそれらを抑制することが確認された。
悪性腫瘍細胞で高発現しているCLIC4の発現抑制と同時にCLIC2の発現を誘導することで悪性腫瘍のさらなる転移浸潤を抑制することに加え、脳腫瘍におけるマイクログリアでのCLIC2の機能解明を目指して研究を継続している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Chloride Intracellular Channel Protein 2 Promotes Microglial Invasion: A Link to Microgliosis in the Parkinson’s Disease Brain2022

    • 著者名/発表者名
      Choudhury Mohammed E.、Ozaki Saya、Miyaue Noriyuki、Matsuura Taisei、Mikami Kanta、Islam Afsana、Kubo Madoka、Ando Rina、Yano Hajime、Kunieda Takeharu、Nagai Masahiro、Tanaka Junya
    • 雑誌名

      Brain Sciences

      巻: 13 ページ: 55~55

    • DOI

      10.3390/brainsci13010055

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Chloride Intracellular Channel Proteins (CLICs) and Malignant Tumor Progression: A Focus on the Preventive Role of CLIC2 in Invasion and Metastasis2022

    • 著者名/発表者名
      Ozaki Saya、Mikami Kanta、Kunieda Takeharu、Tanaka Junya
    • 雑誌名

      Cancers

      巻: 14 ページ: 4890~4890

    • DOI

      10.3390/cancers14194890

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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