研究課題/領域番号 |
21K16613
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
高口 素史 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (20794324)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | もやもや病 / RNF213 / 生活習慣病 |
研究実績の概要 |
虚血性脳卒中(脳梗塞)の主要な原因の一つである頭蓋内主幹動脈狭窄は、アジア人種に発症が多く,遺伝的な要因が関与すると報告されている。近年、もやもや病の疾患感受性遺伝子としてring finger protein 213 (RNF213)上の単一のミスセンス変異が、もやもや病のみならず、様々な程度の頭蓋内主幹動脈狭窄に関連することが明らかになってきた。頭蓋内主幹動脈狭窄を有する患者の大部分は、比較的高齢で高血圧、糖尿病、高脂血症などの基礎疾患を有しており,アテローム性動脈硬化による動脈狭窄病変と診断される症例である。そこで、本研究においてはRNF213遺伝子変異に高血圧、糖尿病、高脂血症などの基礎疾患の病態への関連性を明らかにすることを目的に、新規動物モデルを作製する。このような頭蓋内主幹動脈狭窄モデルの作製の試みは、原因の解明に加え、新たな治療法開発へ結びつくことが期待できる。既に我々は、RNF213欠損マウスを作成しているが、SonobeらはRNF213欠損モデルを用いて、もやもや病疾患モデルの確立を試みている。しかし、胎児や発達過程は正常で、もやもや病を発症しなかった。また、血管壁肥厚を誘導するモデルである総頚動脈結紮を用いて、血管壁における病理組織学的変化について評価したところ、RNF213欠損モデル群において、頸動脈の動脈硬化性変化は軽減していた。RNF213遺伝子変異は、頭蓋内アテローム性動脈硬化症との関連も報告されており、その解明は非常に重要なものとなる。我々は、感受性遺伝子である、RNF213遺伝子変異の存在に高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームが加わると、表現型として頭蓋内アテローム性動脈硬化症を発症するのではないかと考え研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
RNF213欠損マウスに高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームを発症させ頭蓋内動脈狭窄症を生じるかを調べる。具体的には、本研究ではRNF213ノックアウトマウスに、アテローム性動脈硬化症を来す基礎疾患である、A.高血圧、B.糖尿病、C.脂質異常症、D.メタボリックシンドロームを発症させ頭蓋内主幹動脈狭窄を生じるかを調べる。我々の研究室では基礎の研究室の協力を得、RNF213ノックアウトマウスを作成している。一方、RNF213欠損マウスでの頸動脈硬化に対する軽減作用も示唆されているものの、動脈硬化の基礎疾患モデルでこれを検討した報告はないため、モデル系の確立に努めている。 A.高血圧モデルとして、Hoboら(J Clin Invest 2000)の方法を用い、8週齢のマウスに処置を行う。全身麻酔下に右腎を摘出し、7日後に再度全身麻酔下に左腎の2/3を焼灼する。 B.糖尿病モデルとして、8週齢のマウスに3週間の高脂肪食管理とした。高脂肪食開始から14日でストレプトゾトシン(35mg/kg)を腹腔内投与する。ストレプトゾトシンは膵β細胞への選択的毒性を有することから本法は比較的簡便に糖尿病モデルを作成することができ広く用いられている方法である。 これらマウス作成を試み、今後解析を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
上記モデルでの解析に加え、脂質異常症モデル、メタボリックシンドロームモデルの作成を行いたい。具体的には C. 脂質異常症モデル マウスの血中コレステロールはHDLコレステロールが大部分を占めるため、食事による脂質異常症の発症誘導は困難である。したがってノックアウトマウスを用いる。RNF213欠損マウスとアポリポ蛋白E欠損モデルを交配して2重欠損モデルを作成する。アポリポ蛋白Eは、血中からのLDLコレステロール除去に寄与するアポリポ蛋白質である。アポリポ蛋白E欠損マウスは10週間で冠動脈、大動脈、頸動脈にアテローム性動脈硬化を発症することが知られており、動脈硬化研究に頻用されているため、これを使用する。 D. メタボリックシンドロームモデル 実臨床において複数の動脈硬化危険因子をもつ例も多い。そのためメタボリックシンドロームモデルでの検討も必要と考えられる。6週齢C57BL/6マウスに6週間の高脂肪食を与えることでメタボリックシンドロームを発症することが知られており、この方法を用いる。 これらモデルの作成を行い、研究を推進したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vivoでの詳細な解析を次年度行うため、繰り越す必要があった。
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