研究課題/領域番号 |
21K16627
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
渡邉 真哉 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (10866437)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 顔面神経損傷 / 神経再建術 / 重症神経損傷 / 歯髄由来幹細胞 / 神経束 / 再生医療 / 移植材料 |
研究実績の概要 |
外傷あるいは疾患等による神経損傷に対する神経再建術(自家遊離神経移植、神経導管移植)は、国内で年間約1万件行われている。しかしながら、自家遊離神経移植は健常神経を犠牲にする等の点、また神経導管移植は対応可能な神経長や神経の太さに制限がある点や運動神経や混合神経に対する十分なデータが存在しない点が問題とされている。神経損傷のうち脳神経損傷においては、顔面神経の切断・高度損傷が生じた場合は、舌下神経等をドナーとした神経再建術が行われているが、侵襲性が高い一方で十分な表情運動を得ることが難しいことから、依然課題が大きい。顔面神経麻痺は社会的に影響が大きく、アンメットメディカルニーズが高い領域である。また、顔面神経以外の重症脳神経損傷においては、有効な治療法は存在しておらず、新規治療の開発が嘱望されている。 神経再建の医療材料として歯髄由来幹細胞に着目し、ヒト口腔内から採取した間葉組織から誘導した神経幹・神経系細胞から作製した生着型神経束による新規再生医療の創出へ向け、重症神経損傷の課題解決にむけた実験を行った。 共同研究者らとヒト口腔内間葉組織から得られた間葉系幹細胞から約1週間で神経幹・神経系細胞を分化誘導する方法を開発し(特願2019-91625)、さらには、血管網を内在した神経束を作製しており(特願2020-157646、特願2020-157621)、まずはラット末梢神経損傷モデルに対して移植実験を行い、移植材料の改良など現在更なる改良を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
移植神経束作成の技術確立として、末梢神経用血管内在神経束の作製技術を応用し、脳神経損傷に対する神経移植に十分な長さおよび径の軸索を有する神経束を効率よく作製する技術を確立にむけた検討と実験を行っているものの、新型コロナウイルス感染対策の影響をうけ、進捗にやや遅れがみられている。
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今後の研究の推進方策 |
まず移植神経束作成の技術確立として、実験結果をもとに選定した移植材料を用いて、脳神経損傷に対する神経移植に十分な長さおよび径の軸索を有する神経束を効率よく作製する。作成した神経束を、ラットモデル(顔面神経損傷モデルラットを含む)における移植神経の生着とホスト神経の軸索伸長による組織学的神経再生及び神経症状の改善の有無の確認を、計画に基づいて進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度の実験計画が遅滞したため、予定していた実験を令和4年度に実施するため。
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備考 |
本年度に複数の学会発表、研究期間内に知財申請を予定している。
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