研究課題/領域番号 |
21K16635
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤本 隆史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (00712085)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 血液脳関門 / 脳転移 / スタチン / in vitro model / ペリサイト |
研究実績の概要 |
灌流型3次元血液脳関門(BBB)モデルを用いてまずは脳血管内皮細胞単層を目標とし、異なる転移性を呈するがん細胞(肺がんおよび乳がん細胞)由来のエクソソームを用いてBBBへの影響をTEERおよびTJタンパク質解析を用いて評価した。結果は明らかな有意差は認めなかったが、高い転移性を有する乳がん細胞由来のエクソソームでBBB機能を低下させる傾向を認めた。単層細胞の脳血管内皮細胞は初代培養細胞を主に用いたが、人工多能性幹細胞(iPSCs)を用いた実験モデルでも同様に評価したが、明らかな変化は認めなかった。 2次元BBBモデルでは主にiPSCsを用いた単細胞モデルを用いて実験を行うとともに、同時にペリサイト・アストロサイトを播種した共培養モデルを作成し、共培養モデルにより異なる反応性を示すか確認した。 関連実験として、iPSCsを用いた2次元BBBモデルにおいて経時的な変化に着目し、BBBモデルにおいて反応性の異なる増殖期(proliferation)および休止期(quiescence)があることを示し、2つの異なる相において発現しているトランスポーターの相違を検証した。この結果を用いて人がん細胞由来のエクソソームでも同様に反応性を検証した。 また、ヒト由来の血清がBBBモデルへの影響を示すか確認するべく、複数のヒト血清(若年、老年、認知症患者)をBBBモデルへ反応させ、ヒト血清が有意にBBBモデルに対して侵襲性を有することを確認した。 また、今実験で得た血管内皮細胞およびBBB関連細胞の知見を用いてCovid-19における血液脳関門の役割に関してレビューを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
転移性細胞の樹立に関しては十分な細胞の獲得が難しく,令和3年度と同様に不十分である。 エクソソームを用いた代替事件では反応性の相違を有するものの有意差を持った実験結果は得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
ハンガリー、アメリカ合衆国との共同実験においては今後も各国での実験を進める。 また、エクソソームのみではなく、ヒト血清を用いた実験などによりがん細胞樹立より簡易的にBBBモデルへの影響を検証できないか確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より肺がん細胞株の樹立において遅延を認めており、それに伴い次年度使用額が生じた。次年度の実験経費として使用予定である。 物品購入予定として腫瘍細胞培養システム(Primary Cancer Culture System,タカラバイオ)およびラット型BBBモデルキットを購入する予定である。
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