研究課題/領域番号 |
21K16641
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
三島 有美子 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (90459082)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 血管内皮細胞 / 細胞老化 / フローダイバーター / 酸化ストレス / ファイトケミカル / 血栓溶解阻害物質 / 血管新生 |
研究実績の概要 |
前年度、暑熱負荷またはTNF-α刺激による炎症ストレスは、血管内皮細胞の老化マーカーの1つであるPAI-1(プラスミノゲン活性化因子インヒビター)の発現を高めることをqPCR法で確認した。今年度は抗酸化性成分によるPAI-1の産生抑制および老化抑制効果について検討を行った。抗酸化性成分としては、ポリメトキシフラボノイド系化合物、およびクマリン系化合物ライブラリィを中心に、抗酸化力を有する植物由来の機能性成分33種類の検討を行った。まず、老化特異的マーカーであるβガラクトシダーゼ染色による評価を行い、より老化抑制が確認された成分に関してPAI-1、SIRT1(老化抑制)、EphA2(血管新生)のqPCRを行った。結果、PAI-1の発現を減少、SIRT1の発現を上昇、EphA2の発現を減少させ得る成分を同定できた。今後は同定したファイトケミカルの生体への投与を視野に入れた濃度調整を検討しつつ、DLL4(血管新生)の遺伝子についても同様にqPCRを行う予定である。加えて、老化マーカーの一つであるp53のリン酸化をWBで、VEGF(血管新生)をELISAにより定量化していく予定である。これにより、ファイトケミカル添加による細胞内シグナル伝達経路への影響を、より詳細に考察できる。また、今年度はフローダイバーター上の安定的な内皮細胞培養環境の構築に着手した。フローダイバーター上の内皮細胞被覆過程は位相差顕微鏡、蛍光顕微鏡で観察した。安定した血管内皮細胞被覆のためにフローダイバーターのコーティング材、血漿濃度、細胞播種量、培養方法(静置・灌流・震盪)など、現在最適化条件を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内皮細胞再生促進に寄与する植物由来の機能性成分(ファイトケミカル)の探索に時間を要したが、血管細胞の老化を制御できる可能性をもつ候補物質候補を選ぶことができた。更に、フローダイバーター上の内皮細胞培養環境の最適化条件の検討を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
細胞老化には様々な要因が存在するため、今後は細胞分裂を繰り返した老化や炎症刺激による老化以外にも、TGF-βを添加して線維化(老化した血管平滑筋細胞においては、TGF-β1/p53/PAI-1シグナル伝達経路の報告がある)を加速させたモデル、DXR添加によりDNAダメ―ジを与えたモデルなど、更なる老化モデルの検討を行い、ファイトケミカル投与による老化抑制効果についてより詳細に解明していきたい。前年度は、血管線維化、動脈硬化、血栓症で上昇し、老化を誘導することが知られているPAI-1遺伝子について注目し、qPCR法にて遺伝子発現の状況を確認した。細胞老化による線維化は、血管動脈内皮を使用した今回の研究に大きく関与すると考えた。いくつかの効果が期待されるファイトケミカルを血管動脈内皮細胞に作用させた結果、PAI-1の発現を抑制させる効果をもつファイトケミカルを同定した。また、同様な方法でSIRT1遺伝子の活性、EphA2遺伝子の発現減少が認められるファイトケミカルを同定した。細胞老化には様々な要因やシグナル伝達経路が存在する。まずは、代表的な老化マーカー(WBでp53, qPCRでDLL4, FACSでSA-β-gal)について調べ、その経路を調査していく。また現在、フローダイバーターを使用した安定的な細胞培養環境の確立のために準備を進めている。まずは、フローダイバーター上に細胞が安定増殖出来るよう、足場となるコーティング剤を検討中である。また、フローダイバーター上の細胞増殖の様子を評価しやすいようGFPを発現する血管内皮動脈細胞を樹立した。これにより、蛍光での観察が可能になったが、フローダイバーターの形状が筒状であることや、特殊な網目構造、予期せぬ強い表面張力の力により、観察に難渋している。来年度はこれらの課題をクリアにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
フローダイバーター上の内皮細胞被覆過程の観察を、当初予定したより少ない消耗品費で遂行できた。 また、学会発表へ行かなかった。
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