研究課題
若手研究
脳虚血後の炎症反応に対する神経細胞やグリア細胞、免疫細胞の役割の理解は進んできたものの、毛細血管を被覆するペリサイトの関与は十分には明らかにされていない。本研究では、一過的脳虚血後の急性期における炎症反応に対するペリサイトの役割について解析を進めた。その結果、脳虚血に応答した急性期のNF-κBの活性化はペリサイトに加え血管内皮細胞において選択的に誘導され、血管系が脳虚血に対する初期センサーとして機能する可能性が示唆された。
脳血管障害
ペリサイトや血管内皮細胞が脳虚血傷害に対して高い感受性を示すこと明らかにした点で学術的意義があると考えられる。脳梗塞は高い死亡率や発症後の神経障害が大きいものの効果的な治療薬は十分とは言えず、本研究成果で得られた虚血センサーとしての血管機能は、脳梗塞治療薬開発に対する新たな方向性を示した点で社会的意義があるものと考えられる。今後、より詳細な虚血感知機構や、炎症進展ならびに神経障害誘導機構を明らかにしていくことで学術的な発展に加え、新たな治療薬開発に貢献するものと期待される。