研究課題/領域番号 |
21K16647
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
曽木 靖仁 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (70881522)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 好中球細胞外トラップ / 筋痛 / 尿酸 |
研究実績の概要 |
筋痛は頻度の高い症状だが、その病態は未解明で、有効な治療法もない。過剰な筋収縮が筋痛の発生に関与していると知られている。Neutrophil extracellular traps(NETs)は好中球が細胞外に放出するDNAを主体とした網状構造物で、尿酸結晶の沈着により強い疼痛を発生する痛風発作においても、その関与が報告されている。本研究は、筋痛における尿酸とNETsの関与を評価し、病態解明・新規治療の開発を目指すものである。 一昨年度は、マウスの下腿三頭筋を電気刺激で過剰に収縮させて作成したマウス筋痛モデルを用いて、筋中の尿酸値、Ly6G、Cit.H3が有意に上昇してること、IL-1βの遺伝子発現が有意に上昇していることを確認した。昨年度はNETsのを分解するDNaseや、好中球を抑制する抗GR-1抗体を投与したマウスでは、筋痛が軽減し、筋中尿酸値、Ly6G、Cit.H3、IL-1βが低下していることを確認し、好中球浸潤やそれに伴うNETsの放出が筋痛への関与していることを薬理学的な裏付けを持って確認した。今年度は、健常成人ボランティアを対象に、筋活動前後の筋組織還流液を微小還流で採取し、筋収縮と尿酸値、Ly6G、Cit.H3、IL-18、IL-1βの関連を評価した。微小還流得られた筋組織還流液中の尿酸値の上昇は確認されたが、その他のLy6G、Cit.H3、IL-18、IL-1βに関しては液中の濃度のバラつきがあり、安定した結果が得られなかった。微小還流は微小還流針を筋中に刺入して行うが、微小還流中に筋収縮を加えることで、針先の位置が変化すること等が原因と考えられ、針先の固定を工夫して追加実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、健常成人ボランティアを対象に、筋活動前後の筋組織還流液を微小還流で採取し、筋収縮と尿酸値、Ly6G、Cit.H3、IL-18、IL-1βの関連を評価したが、尿酸値以外は十分な結果が得られず、研究機関を延長して引き続き実験を行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、健常成人ボランティアを対象に、筋活動前後の筋組織還流液を微小還流で採取して解析を行う。針先の固定を工夫して安定したサンプルを採取して実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
健常成人ボランティアを対象とした、筋収縮前後の組織還流液を用いた評価を延長して行う必要があるため。
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