研究課題
半月板損傷に伴う切除後欠損に対し、欧米では凍結融解同種半月板移植が行われるが、抗原性残存や感染リスクの課題が残る。我々はこれらの課題の解決手段として、世界で初めて高静水圧印加処理を用いたブタの脱細胞化半月板を作製し、脱細胞化半月板の組織学的、生化学的観点、生体力学的観点、生体適合性についての凍結融解処理後半月板との比較検証結果について報告した。その次段階として脱細胞化半月板をラット膝に移植し、その関節保護効果について検証を行った。新鮮ブタ膝内側半月板を用いた。脱細胞群は30度、1000MPaで高圧処理を10分間施行後、DNase含有溶液で3日間の核酸除去処理を37度で施行した。Lewisラット9週令の膝内側半月板を1/2切除し、そこに脱細胞化ブタ半月板を移植、縫合して、4週間経過観察を行った。比較対象として、内側半月板1/2切除のみの個体と比較した。マクロ所見では脱細胞化半月板移植群のほうが軟骨損傷は少ないように思われたが、組織学的所見で有意な所見として定量的に評価することは困難だった。毒性試験としての細胞破壊は認められなかった。半月板損傷に対し、海外では同種移植が行われるが、本邦では倫理上の観点やドナー不足から同種移植の実施は困難である。今後の治療の一手段としての今後の開発が待たれる状況である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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