研究課題/領域番号 |
21K16650
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鬼頭 宗久 信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (60624707)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | GNAS遺伝子 / 筋肉内粘液腫 / 遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
筋肉内粘液腫は、GNAS遺伝子のミスセンス突然変異を持つ良性腫瘍であり、これまでにExon8 Arg201・Exon9 Gln227のミスセンス突然変異が報告されている。悪性腫瘍の低悪性度粘液線維肉腫とは画像・組織学的所見が似通っており鑑別には苦慮する。GNAS遺伝子変異検索は、両腫瘍の鑑別に有用である可能性はある。しかし、DNAを抽出できる組織内腫瘍細胞数が少ないため、変異の同定のためには高感度の検出方法が必要である。 本研究では、第1段階として筋肉内粘液腫と低悪性度粘液線維肉腫のGNAS遺伝子解析を次世代シークエンス法で行い、第2段階として次世代シークエンス法で同定された遺伝子変異をPCRベースで解析した。PCRベース解析は、以下の3つの方法で行っている;① PCRダイレクトシークエンス法、② PNA clamp法を併用したPCR-制限酵素処理フラグメント解析、③ PNA clamp法を併用したPCRダイレクトシークエンス法。 当院で摘出術が行われ、ホルマリン固定パラフィン包埋標本よりDNA抽出が可能であった筋肉内粘液腫10例・低悪性度粘液線維肉腫9例の解析を行った。次世代シークエンス法では、筋肉内粘液腫の8例(80%)でGNASミスセンス変異(Exon8 Arg201Cys 4例, Exon8 Arg201His 4例)を認めた。低悪性度粘液線維肉腫ではホットスポットの変異は認めなかった。同定された遺伝子変異をPCRベースで解析を行った。PCRダイレクトシークエンス法では、筋肉内粘液腫では4例(40%)で変異が同定でされた。低悪性度粘液線維肉腫では変異は同定されなかった。PNA clamp法を併用したPCR-制限酵素処理フラグメント解析では、筋肉内粘液腫では8例(80%)で変異陽性となり、低悪性度粘液線維肉腫では1例(11%)で変異陽性となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
手術検体において次世代シークエンス法・PCRダイレクトシークエンス法・PNA clamp法を併用したPCR-制限酵素処理フラグメント解析にてGNAS遺伝子解析を終了している。現在、PNA clamp法を併用したPCRダイレクトシークエンス法を行っている最中である。 PCRベースでの解析方法の感度を上げる実験系の検討に時間を要したため当初の予定より進捗状況は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
手術検体のPNA clamp法を併用したPCRダイレクトシークエンス法が終了次第、4つの方法を比較検討し、最適にGNAS遺伝子変異を同定できる解析法を明らかにしていく。その結果を、学会発表・論文投稿していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子検索が当初の予定より若干遅れているため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は消耗品費として使用する予定である。
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