研究課題
当院で摘出術が行われ、ホルマリン固定パラフィン包埋標本よりDNA抽出が可能であった筋肉内粘液腫10例・低悪性度粘液線維肉腫9例に対して筋肉内粘液腫のホットスポット変異といわれるGNASエクソン8 R201変異をターゲットとし、以下の4つの遺伝子解析方法を比較した;① PCRダイレクトシークエンス法、② PNA clamp法を併用したPCR-制限酵素処理フラグメントシグナル解析、③ PNA clamp法を併用したPCRダイレクトシークエンス法、④ 次世代シークエンス法。①、②、④の解析は前年度までに終了しており、最終年度は③の方法による解析を行い、それぞれの方法の感度・特異度を評価した。感度・特異度は、① PCRダイレクトシークエンス法 : 0.4・1、② PNA clamp法を併用したPCR-制限酵素処理フラグメントシグナル解析 : 0.8・0.89、③ PNA clamp法を併用したPCRダイレクトシークエンス法、④ 次世代シークエンス法 : 0.78・1であった。PCRダイレクトシークエンス法以外の解析方法では、高精度に筋肉内粘液腫のGNASエクソン8 R201変異を同定でき、低悪性度粘液線維肉腫ではすべての解析方法で変異は同定されなかった。精度の高い検索方法を行うことでGNAS遺伝子変異検索が、筋肉内粘液腫と低悪性度粘液線維肉腫との鑑別に有用であることが本研究で明らかになった。様々なバリアントを網羅的に検索することを目的とした場合は、次世代シークエンス法が優れているが、ホットスポット変異のみにターゲットを絞ればPCRベースの解析方法(PNA clamp法を併用したPCR-制限酵素処理フラグメントシグナル解析、PNA clamp法を併用したPCRダイレクトシークエンス法)で、変異を同定することは十分に可能である。
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