研究実績の概要 |
前年度の実験では、内側半月板(medial meniscus, MM)後根断裂(MM posterior root tear, MMPRT)によるMM後角部での低分子ロイシンリッチプロテオグリカン(small leucine-rich proteoglycans, SLRPs)の発現について検討した。培養した半月板細胞のリアルタイムPCRによる遺伝子発現解析から、MMPRT群ではcontrol群と比較しFibromodulinやTGF-β1の発現が高いことが明らかとなった。この結果を踏まえ、MMPRTにおけるFibromodulinとTGF-β1のタンパク発現解析を免疫染色にて行った。また、TGF-β1がFibromodulinの発現をどのように調節するかを調査した。免疫染色では、control群と比較しMMPRT群においてFibromodulinやTGF-β1陽性細胞が有意に多く観察された(それぞれ1.6倍、1.7倍)。またTGF-β1刺激下で培養した半月板細胞では、Fibromodulinの遺伝子発現が48時間後に3.3倍に有意に増加した。以上のことから、MMPRTにおけるMM後角部でのFibromodulinの発現増加にはTGF-β1が関与している可能性が示唆された。
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