研究課題/領域番号 |
21K16671
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研究機関 | 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部) |
研究代表者 |
横田 和也 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 研究員(移行) (60772332)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 脊髄損傷 / 神経再生 |
研究実績の概要 |
我々はヒト体細胞由来の神経幹細胞を作製し、その細胞の性質を免疫学的組織染色や遺伝子発現解析を用いて評価し、細胞移植のソースとして適切であることを確認した。作製した神経幹細胞は、in vitroで、神経活動を伴うニューロン・髄鞘タンパクを発現するオリゴデンドロサイト・アストロサイトの3系統へ分化することを確認できた。培養された神経幹細胞はpro-neuronalな転写因子(NeuroG、NeuroD1、Ascl1、Dcx、Map2、Tubb3)、pro-oligodendrogenicな転写因子(Olig2、Sox9、Nkx2.2、CNPase、APC)、pro-astrocyticな転写因子(Nf1a、Nf1b、GFAP、Aldh1l1)をそれぞれ発現していることを定量的PCRで確認できた。培養された神経幹細胞は、培養初期でNestin陽性の多分化能を持った細胞であることが組織評価で確認された。また、これらの細胞は培養1週後の時点でニューロンマーカー(Ascl1、Dcx、Tuj1)陽性、もしくはオリゴデンドロサイトマーカー(O1、CNPase、APC)陽性、もしくはアストロサイトマーカー(GFAP)が陽性であることを確認できた。培養条件にも依るが、今回作製した神経幹細胞は、従来使用されてきた神経幹細胞と比較して、オリゴデンドロサイトへの分化効率が高いことが明らかとなった。 次に、作製した神経幹細胞を用いて、脊髄損傷モデルラットに細胞移植を行った。細胞移植が施行された群では、細胞移植を施行されなかった群に比較して、有意に下肢運動機能が改善することが明らかとなった。さらに、Inclined planeやGrip strength testといった、他の運動機能評価においても、細胞移植群では細胞移植をされなかった群に比較して、有意に機能改善が得られることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた脊髄損傷に対する細胞移植・移植後の運動機能解析が施行されたため。
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今後の研究の推進方策 |
損傷脊髄内に生着した神経幹細胞の機能解析を計画する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今後の予定として、損傷脊髄内に生着した神経幹細胞の機能解析を計画しているため。
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