研究実績の概要 |
申請者は,皮質骨と厳密に同様の弾性率を有し再生骨と一体化して骨再生ができる骨組織修復の足場材であるチタンファイバープレート(Titanium Fiber Plate: TFP)を開発し,特許を取得した.TFPに関して,1)工学部と連携し安価での作製が可能で,チタンの繊維長と繊維直径の比で定義されるアスペクト比(以下AR)を調整することで,多孔率,ポアサイズ,強度の改良が得られた、2)脊椎後側方固定術において骨補填剤としての有用性が高いことが分かった(日本学術振興会科学研究費助成事業;2018年4月~2021年3月).本研究の続きとして,本TFPが骨と密着固定された時、ストレスシールディングを許容できるインプラントであるかを検討した。 ウサギの大腿骨髄腔内に, Titanium fiber(以下TF)製のロッドを挿入した個体(TF rod)と純チタンのロッドを挿入した個体(Titan rod), 何も挿入していない個体(Control)を作成した.インプラントはTF rod,Titan rodとも径4mm,長さ40mmのものを作製した.膝関節より大腿骨果間に骨孔を開け,ロッドを逆行性に挿入した.術後12週のMicro-computed tomography(CT)画像を撮影し,皮質骨の萎縮,インプラント周囲の骨形成を評価した. Titan rodを挿入した個体で大腿骨後方皮質の萎縮を認め,ストレスシールディングを生じていた.一方で,TF rodを挿入した個体では骨皮質の萎縮は見られなかった.最も萎縮の大きかった部位の計測値は,TF rod 0.72 mm,Titan rod 0.11 mm,Control 0.74 mmであり,Controlと比較してもTF rodでは骨皮質の萎縮は認めず,ストレスシールディングを生じなかったと考えられる.
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