研究課題/領域番号 |
21K16688
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
池戸 葵 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 特定研究員 (60834520)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エストロゲン受容体α / CAR細胞 / 骨折治癒 |
研究実績の概要 |
エストロゲン欠乏による骨量低下は、閉経後女性のみならず思春期女性やアスリートにおいても問題視されており、骨折や疲労骨折の治癒遷延の大きな原因の一つとなっている。そこで、骨折修復部では、間葉系間質細胞が増殖し骨芽細胞へ分化していくことから、我々は、間葉系間質細胞であるCXCL12-abundant reticular cells (CAR細胞) に着目した。CAR細胞は、骨折修復への寄与率が高く、エストロゲン受容体α (ERα) 発現量が高いにも関わらず、エストロゲンによる制御機構は全く不明である。本研究では、骨髄特異的間葉系幹細胞に対するエストロゲンの役割を明らかにし、骨恒常性の維持や骨折治癒に対する制御機構を解明することを目的とした。 現在、Ebf3-CreERT2マウスとエストロゲン受容体α(ERα) floxマウスの交配により、CAR細胞特異的ERα遺伝子欠損マウスの作出に成功している。また、このマウスの骨表現系を確認すると共に、完全骨折モデルを用いた骨折治癒過程の評価を実施している。フローサイトメトリー法を用いて、コントロールマウスとERα欠損マウスの無処置の骨髄から、CAR細胞を単離し、各細胞のRNAから遺伝子発現をqPCRで確認すると、いくつかの遺伝子発現量に変化が認められた。この結果を基に、細胞の自己複製能や増殖能、分化能について評価していく予定である。 今後は、サンプル数を増やし、CAR細胞特異的ERα欠損マウスの表現型を確認していく。表現型を確認した後、RNA-seqによる遺伝子発現網羅解析を行い、標的遺伝子の同定を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスの作出やCAR細胞の単離や機能解析について、順調に進んでいる。骨表現系や骨折治癒過程についても順次解析を進めており、結果をまとめているところである。
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今後の研究の推進方策 |
表現系を確認した後、RNA-seqを行い、標的遺伝子を同定する。標的遺伝子が同定できた場合は、標的遺伝子が骨密度の改善や骨折治癒の促進に寄与するのかについても、評価して行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は実験が順調に進んでおり、消耗品の使用が比較的少なかったため使用額にあまりが出た。そのため、次年度に実施予定であるRNA-seqや標的因子の同定のための解析にあまりの額を使用する。
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