研究課題/領域番号 |
21K16689
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
上野 雅也 佐賀大学, 医学部, 病院助教 (20879811)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 骨再生医療 / 三次元細胞培養 / 骨代謝 / 骨髄炎 |
研究実績の概要 |
近年間葉系幹細胞(MSC)を用いた研究が進み、骨欠損治療への応用が期待されるが、感染部位に補填するには抗菌能と骨形成能を持つ新たな基材が必要である。そこで無機抗菌剤であり整形外科インプラントにも使用される銀を培地に付加し、抗菌能、MSCsへの細胞毒性、骨形成能への影響をin vitroにおいて評価し、新たな基材となりうるか検討行った。 BALB/cマウス骨髄由来MSC、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、新たな基材として銀含有リン酸カルシウム粉末(AgCP)、コントロールとしてリン酸三カルシウム粉末(TCP)を用いた。抗菌能はAgCPまたはTCPにMRSAを接種し、37℃で培養し評価した。細胞毒性はMSCを含む培養液にAgCPを添加して培養し算出した。また、骨形成能はMSCにAgCPまたはTCPを添加し、骨形成培地で培養行いアルカリホスファターゼ(ALP)活性を測定し評価した。3次元培養としてAgCP、TCP を添加したハイドロゲルにMSCを封入し、φ2mm、高さ2mmの円柱形に成形、4週間培養行った 1%AgCP添加によりMRSAは検出されなくなった。AgCPは濃度依存的な細胞毒性を示したが、0.5%と1%AgCPにおいてMSCは一旦減少した後に増加し、28日目においてコントロールと比較し有意差を認めなかった。骨形成能評価では全ての群でALPが観察され、3D細胞培養による骨形成能評価では表層から石灰化を認めた。 AgCPは1wt%添加によって培地に抗菌性を付与するが、その濃度ではMSCに対し細胞毒性を初期に示すものの、骨形成能は損なわれなかった。骨欠損を伴う感染部位にMSCとAgCPを含んだ基材を投与することは、局所に抗菌能と骨形成能をもたらす新たな基材・治療法へなりうることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス大腿骨骨髄より骨髄由来幹細胞を採取し、実験に用いられるまで継代・増殖させ、銀含有リン酸カルシウム粉末を付加した培地での骨形成を確認することができた。細胞の培養と骨形成の確認にあたっては、方法に多分な工夫が必要であったが事前の想定の結果は順調に得られていると考えられる。細胞毒性評価や抗菌能評価も予定通りに終了した。三次元細胞培養についても足場材料の選定と培養方法には困難を伴ったが、当初の計画通りに骨形成が得られており、おおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
細胞足場材料に幹細胞・銀含有リン酸カルシウム粉末・MRSAを加え培養し、抗菌能・骨形成能を評価する。評価はアリザリンレッド染色、アルカリフォスファターゼ染色、細胞数測定、マイクロCTに加え、溶液上清を採取し、qPCRにてサイトカインを測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により国内・国際学会への参加を見合わせたことと、計画していた銀イオン濃度測定が機器の故障により本年度に行えなかったことにより、その分が次年度使用額へと持ち越された。現在まで機器の故障は治っておらず、2022年5月に銀イオン測定を外部に依頼する計画であり、その費用として使用する予定である。
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