研究課題/領域番号 |
21K16693
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
池田 信介 北里大学, 医学部, 助教 (90881938)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 局所感染症 / 人工関節周囲感染 / ミエロペルオキシダーゼ / 抗菌薬含有セメントスペーサー |
研究実績の概要 |
人工関節周囲感染や手術部位感染などの局所感染症の診断および治療は非常に難渋することが多い。私たちはミエロペルオキシダーゼが人工関節周囲感染診断のための優れたバイオマーカーであることをはじめて報告した。また、人工関節周囲感染に対する新規治療法としての二重構造抗菌薬含有セメントスペーサーの有効性を明らかにした。これら一連の研究結果を踏まえ、本研究では局所感染症に対する新しい迅速診断ツールの開発および人工関節周囲感染に対する新規治療法の開発を目的としている。私たちはこれまでに、感染した関節の関節液を分析し、既存の各種バイオマーカーおよびミエロペルオキシダーゼを測定・比較検討を行い、ミエロペルオキシダーゼの有用性を示した。しかし現在の手法では測定に時間を要し、臨床応用の面で課題が残っている。今後、迅速測定ツールを作成し臨床現場のニーズに即した形での応用を目指している。 令和5年度は新規の計測機器を購入し、人工関節周囲感染の関節液中のミエロペルオキシダーゼを測定することで、人工関節周囲感染におけるミエロペルオキシダーゼ迅速測定の有用性を示すことができた。その研究結果は複数の学会において報告している。現在はその研究結果をもとに論文を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度までは新型コロナウイルス感染の流行の影響もあり、研究活動自体に大きな制限を受けた。手術件数も減少し、検体数も当初の予定よりも大幅に減少し、学会等も延期となり他施設の研究者との交流も制限された。予定していた検査機器が手に入らない状況が続いた。しかし規制の緩和に伴い通常の研究活動が行えるようになり、予定よりも期間を延長し研究を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
ミエロペルオキシダーゼの体内動態を調査し、基準値を策定するとともに、ミエロペルオキシダーゼの診断マーカーとしての有用性を検証していく。さらに局所感染症の迅速診断ツールとしてミエロペルオキシダーゼ迅速測定キットの開発を行っていく。 これまでに得られた結果は今年度中に論文化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染の流行の影響もあり、研究活動自体に大きな制限を受けた。学会等も延期となり、旅費の支出も少なかったが、規制緩和に伴い延期されていた学会も次々に現地開催されている。また予定していた検査機器が手に入らない状況が続いていたが、検査機器の変更し、研究は徐々に予定通りとなりつつある。これまでに計画していた研究のデータは揃いつつあり、今年度はデータ解析および論文投稿費などに使わせていただく予定である。
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