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2021 年度 実施状況報告書

脊柱靭帯骨化症による脊髄障害の病態解明研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K16699
研究機関北海道大学

研究代表者

鈴木 裕貴  北海道大学, 大学病院, 医員 (90880021)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード圧迫性脊髄症 / 動物モデル / 脊柱靭帯骨化
研究実績の概要

本研究の目的は、脊柱靭帯骨化による脊髄障害モデルを開発し、障害早期、中期、後期の主たる病態、細胞機構を明らかにすることである。今年度は、脊柱靭帯骨化による脊髄障害モデルの作成に、最適な週齢を明らかにするために、CT脊髄造影を各週齢のLewisラットに実施し、脊柱管、脊髄、space available cord (SAC)の成長曲線を明らかにした。Lewisラットの場合、8週齢以降であれば、SACが平衡状態となること、また、脊髄、脊柱管の成長が24週齢で停止することが判明した。このことは、Lewisラットに脊柱管内占拠性物質を留置あるいは作成して、脊髄障害モデルを作成する場合、8週齢以降であれば問題なく、24週齢以降ならば理想的であることが判明した。また、げっ歯類の脊柱管、脊髄の成長、成熟は性機能が成熟した後も継続し、性機能の成熟前に成長、成熟が完了するヒトとは、大きく異なることが明らかになった。さらに、ラットの第5頚椎椎弓下にBone Morphogenic Protein (BMP)を含浸させたコラーゲンスポンジを留置して、脊柱管内異所性骨化作成を試みたところ、一定のBMP濃度を越えると異所性骨化が形成されるが、その後、骨組織が吸収されることが判明した。そこで、骨吸収抑制薬剤を併用したところ、異所性骨化は維持され、最終的に異所性骨化による脊髄圧迫と脊髄障害を発症させることが可能になった。今後は、このモデルを利用して、詳細な組織学的、行動学的解析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、脊柱靭帯骨化による脊髄障害モデルを開発し、障害早期、中期、後期の主たる病態、細胞機構を明らかにすることである。今年度は、脊柱靭帯骨化による脊髄障害モデルの作成に、最適な週齢を明らかにするために、CT脊髄造影を各週齢のLewisラットに実施し、脊柱管、脊髄、space available cord (SAC)の成長曲線を明らかにした。Lewisラットの場合、8週齢以降であれば、SACが平衡状態となること、また、脊髄、脊柱管の成長が24週齢で停止することが判明した。このことは、Lewisラットに脊柱管内占拠性物質を留置あるいは作成して、脊髄障害モデルを作成する場合、8週齢以降であれば問題なく、24週齢以降ならば理想的であることが判明した。また、げっ歯類の脊柱管、脊髄の成長、成熟は性機能が成熟した後も継続し、性機能の成熟前に成長、成熟が完了するヒトとは、大きく異なることが明らかになった。さらに、ラットの第5頚椎椎弓下にBone Morphogenic Protein (BMP)を含浸させたコラーゲンスポンジを留置して、脊柱管内異所性骨化作成を試みたところ、一定のBMP濃度を越えると異所性骨化が形成されるが、その後、骨組織が吸収されることが判明した。そこで、骨吸収抑制薬剤を併用したところ、異所性骨化は維持され、最終的に異所性骨化による脊髄圧迫と脊髄障害を発症させることが可能になった。

今後の研究の推進方策

まずは、8週齢のLewisラットの頚椎にBone Morphogenic Protein (BMP)を含浸させたコラーゲンスポンジを脊柱管に留置する手法を使用して、脊髄圧迫を作成し、脊柱靭帯骨化による脊髄障害モデルの確立に注力する。対照群として、BMP非含有コラーゲンシート移植群を設定し、移植後、8週間に渡って、詳細なトレッドミル型歩行解析器械を使用した歩行解析、感覚機能(触刺激、熱刺激)、各種筋肉重量の定量によって、脊髄障害の程度を定量し、臨床像との相関を検討する。次に、慢性圧迫性脊髄障害の細胞学的病態を解明するために、今回確立したモデルで障害された脊髄を経時的に解析する。免疫染色によって、脱髄、軸索断裂、マクロファージ、好中球、リンパ球、活性化アストロサイト、増殖細胞、ランヴィエ紋輪分子の発現、血液脊髄関門機能の破綻などを検討し、障害早期、中期、後期の主たる病態、細胞機構を明らかにする予定である。

次年度使用額が生じた理由

順調に進行しているが、コロナ禍の影響で、動物実験を想定よりも実施できなかったことで、動物購入費、動物飼育費用、関連試薬の支出が想定よりもなかった。しかし、次年度はその分多くの動物実験を実施予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Mature but not developing Schwann cells promote axon regeneration after peripheral nerve injury.2022

    • 著者名/発表者名
      Endo T, Kadoya K, Suzuki T, Suzuki Y, Terkawi MA, Kawamura D, Iwasaki N
    • 雑誌名

      NPJ Regenerative Medicine

      巻: 7 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41536-022-00205-y

    • 査読あり
  • [学会発表] Papaverine as a Neuroprotection Drug for Spinal Cord Injury Targeting on Blood-Spinal Cord Barrier protection.2021

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Y, Kadoya K, Sotome Y, Endo T, Asano T, Maenaka K, Nakagawa S, Iwasaki N
    • 学会等名
      The 38th Annual Symposium of the National Neurotrauma Society
  • [学会発表] Clinical antispasmodic drug, Papaverine, is neuroprotective after spinal cord injury by minimizing secondary injury via protection of blood spinal cord barrier function2021

    • 著者名/発表者名
      Sotome A, Kadoya K, Suzuki Y, Endo T, Asano T, Maenaka K, Nakagawa S, Iwasaki N
    • 学会等名
      The 60th ISCOS Annual Scientific Meeting
  • [学会発表] 抗精神薬 Brexpiprazole の急性期脊髄損傷に対する神経保護効果の検討2021

    • 著者名/発表者名
      五月女慧人、角家健、鈴木裕貴 、遠藤健、浅野毅、中川慎介、前仲勝美、岩崎倫政
    • 学会等名
      第140回北海道整形災害外科学会
  • [学会発表] Brexpiprazoleの血液脊髄関門機能維持を介した脊髄損傷後神経保護効果2021

    • 著者名/発表者名
      五月女慧人、角家健 、鈴木裕貴 、遠藤健、浅野毅、中川慎介、前仲勝美、岩崎倫政
    • 学会等名
      第36回日本整形外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] 抗精神薬Brexpiprazoleの急性期脊髄損傷に対する神経保護効果の検討2021

    • 著者名/発表者名
      五月女慧人、角家健 、鈴木裕貴 、中川慎介、前仲勝美、岩崎倫政
    • 学会等名
      第56回日本脊髄障害医学会

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公開日: 2022-12-28  

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