研究課題/領域番号 |
21K16704
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
新村 和也 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任助教 (80622886)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自家骨移植 / 高圧処理 / 腫瘍処理 / 腫瘍処理骨移植 / 骨癒合 / 脊椎後側方固定 |
研究実績の概要 |
本研究の検討課題は自家高圧処理骨移植において骨癒合が得られるかをin vivoで明らかにすることである。 【方法】成熟した日本白色兎に対し、自家腸骨を両側第5-6腰椎横突起間に骨移植し、脊椎後側方固定を施行した。自家骨の処理方法を高圧群(200MPa・10分の加圧処理)、液体窒素群(20分の凍結処理)、コントロール群(新鮮自家骨)の3群に分け比較検討した。術後8週(各群6羽)および12週(各群5羽)で屠殺後、徒手検査・単純X線・CTで骨癒合を評価した。骨癒合の基準は徒手検査では椎間が全く動かないもの、単純X線では骨塊が残存し骨透亮像が無いもの、CTでは横突起間が移植骨により50%以上架橋されたものとした。単純X線、CTでは左右を分け評価を行った。 【結果】8週モデルの骨癒合率は徒手検査で高圧群0%、液体窒素群0%、コントロール群83%、単純X線で高圧群 92%、液体窒素群75%、コントロール群100%、 CTで高圧群33%、 液体窒素群17%、コントール群92%であった。12週モデルの骨癒合率は徒手検査で高圧群0%、液体窒素0%、コントロール60%、単純X線で高圧群90%、液体窒素群100%、コントロール群100%、CTで高圧群70%、液体窒素群80%、コントロール群90%であった。 【考察】本研究により高圧処理骨移植で骨癒合が得られることが初めて示された。12週モデルにおいては3群間に大きな差は見られず、既存の処理方法と同等の骨癒合が期待される結果であった。さらには8週時点では有意差はないもののわずかに高圧群で良好な結果であったため、既存の処理方法に比較し、より早期に骨癒合が得られる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究における骨癒合に関する放射線学的、力学的検討は完了しており、想定していた結果が得られている。今後は病理学的・免疫学的な検討を中心に行い、骨癒合の質や、骨癒合の差をもたらした骨関連因子に関する評価を行っていく予定である。病理学的、免疫学的評価については今年度中に終了する予定であり、それによって本研究の実験内容はすべて終了する。実験が終了次第、統計学的検討や論文作成、国内外の発表に注力していく予定である。これらは当初の計画通りの進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の検討課題としては高圧処理骨移植の優位性および安全性・有効性に関する追加検討が必要であると考えている。本研究では免疫学的な検討において既存の処理方法との差異を明らかにすることで優位性に関する評価の一助となると想定している。 その他、骨腫瘍における高圧処理の安全性、有効性に関しては、より臨床に則した動物モデルを用いた追加検討が必要であると考えている。具体的には腫瘍骨モデルを用いて、高圧処理を行い腫瘍再発の有無や骨癒合に関する追加検討が妥当と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の想定より少ないウサギの羽数で実験を遂行することができたため、計画より少ない費用で実験を行うことができた。当該助成金に関しては免疫学的評価における試薬に対して使用する計画である。
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