【目的】骨腫瘍の根治的手術で生じる広範な骨欠損には良質な骨再建が重要である。移植骨の質において健常部自家骨が最良だが、骨量不足・採骨部痛の課題がある。一方、切除した腫瘍骨を再利用する殺細胞処理は骨癒合が遷延傾向にある。新たな処理方法である高圧処理は細胞外蛋白が温存されるため既存の処理方法より早期に骨癒合が得られる可能性があるが、これまで高圧処理骨の骨癒合について生体内で検討した報告はない。 【方法】日本白色家兎の自家骨処理方法を3群に分け、脊椎後側方固定(L5/6)を施行した。群分けは高圧群(P群)、液体窒素群(F群)、新鮮自家骨群(C群)とした。術後8週で各群6羽、術後12週で各群5羽を屠殺し、骨癒合について徒手検査・単純X線・CTで評価した。骨癒合の基準は徒手検査では椎体間が全く動かないもの、単純X線では骨塊が残存し骨透亮像が無いもの、CTでは横突起間の骨性架橋の連続性が50%以上のものとした。また、各群の移植前の骨に対してCD31、BMP2の発現量を免疫染色で評価し、さらには物理的変性の有無について皮質骨部と海綿骨部に分けて走査電子顕微鏡(SEM)で評価した。 【結果】8週モデルではCTにおける骨癒合率はP群33.3%、F群16.7%、C群91.7%であり、C群で有意に高く、F群で有意に低かった。12週モデルではCTの骨癒合率は3群間に有意差はなかった。免疫染色におけるBMP2の発現はF群に比べP群で多い傾向であったが有意差はなかった。SEMでは皮質骨では3群とも変性所見はなかったが、海綿骨ではC群、P群、F群の順に変性が少なかった。 【結論】高圧処理自家骨移植で骨癒合が得られることが生体内で初めて確認された。高圧処理は既存の処理方法と同等以上の骨癒合率であり、処理による変性が少ないことから理想的な処理方法である可能性が示唆された。
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