研究課題/領域番号 |
21K16707
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻井 聡 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師(常勤) (70898014)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 細胞老化 / 組織老化 / 半月板 / 細胞外基質 |
研究実績の概要 |
半月板は膝関節内において荷重分散や、衝撃吸収、関節潤滑、安定化など重要な機能を有するが、加齢に伴う変化(老化)に加えて、日々繰り返される荷重など様々な要因が重なり、変性断裂に至る。変性断裂に至ると修復は困難であり、疼痛が続けば切除術が施行され、半月板組織・機能を可及的に温存する‘Save the Meniscus’という近年提唱されている理念を遂行することが困難となる。そこで、変性断裂に至る前段階としての半月板の老化メカニズムを明らかにすることが変性断裂の発症を予防するには重要と考えられるが、この視点での研究はまだ進んでいない。 本研究においてはマウスを対象としているが、若齢・老齢マウスの半月板組織において、老化現象が認められるかどうかを検証することが第一に必要である。そして老化メカニズム解明のため、老化指標となるコラーゲン線維架橋に関わる分子機構を同定することも同時に必要と考える。老化メカニズムに関する標的因子を同定できれば、その因子を調節することで老化抑制機構への介入も検証でき、新たな治療戦略へつながると考えられる。 本年度も引き続き、マウス後肢の膝半月板から初代培養の確立を試みたが、コラゲナーゼ処理による細胞の抽出は困難であった。そのため、組織評価での老化表現型の確認を行うこととし、若齢マウスと老齢マウスの組織における免疫染色法の比較試験を進めた。さらに、組織における遺伝子発現量を解析することとし、学会報告を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小動物としてはマウスを使用し、後肢から半月板採取を行い、コラゲナーゼ処理を行ったが、前年度の結果もふまえて初代培養作成は困難と判断した。 そのため、細胞による評価ではなく、組織評価を行うこととし、組織における免疫染色やBulkでのRNA-sequenceを行うこととして、評価手法を変更することとした。
|
今後の研究の推進方策 |
組織評価を週齢ごとに比べて、自然老化における変化を捉えることから開始し、まず免疫染色による老化指標の変化を探索する。さらには組織(Bulk)からRNA抽出を行い、RNAレベルでの違いから、半月板の組織老化に関わる遺伝子変化を捉える。その中から、候補遺伝子を抽出し、遺伝子発現の変化を人為的に引き起こした際の表現型の変化を捉える予定である。
|