①モノヨード酢酸誘導性変形性関節症モデルマウスの作成方法、評価方法の確立:C57BJ/6 マウス(雄8週齢)の膝関節内に生理食塩水(10ul)に希釈したモノヨード酢酸[0.1mg(重症モデル)もしくは0.01mg(中等症モデル)]を経膝蓋腱的に投与した。モノヨード酢酸投与後3週間で膝関節において関節軟骨の消失を認めた。 ②内側半月板不安定化モデルマウスの作成方法、評価方法の確立:より臨床に即したOAモデルの作成として、内側半月板不安定化モデルマウスを作成した。10週齢マウスに対し内側半月板と脛骨関節面の結合組織を切離し内側半月板を不安定化する処置を行い、術後8週時点でOA変化が確認された。 ③軟骨細胞株ATDC5細胞に対するMTI-Ⅱペプチド投与効果の確認:軟骨細胞株ATDC5細胞の培養液に10ng/mlのLPSを加え24時間培養し、RNAを回収しqPCRを実施した。その結果、炎症性サイトカインであるIL-6や蛋白分解酵素であるMMP-3、MMP-13が上昇した。そして、10ng/ml LPSにMTI-Ⅱペプチド3mg/mlを加え同様に24時間培養しqPCRを実施したところ、IL-6、MMP-3、MMP-13の発現が低下した。 ④内側半月板不安定化モデルマウスへのMTI-Ⅱペプチド投与効果の確認:上記の内側半月板不安定化モデルマウスに対し、MTI-Ⅱペプチド(4mg・10ul/回)を週3回関節内投与した。その結果、注射部位を中心とした滑膜炎など軟部組織の炎症反応を認め、軟骨組織の保護作用は認められなかった。 以上の結果から、in vitroでMTI-Ⅱペプチドは炎症性サイトカインや軟骨分解酵素の発現を抑制しており、変形性関節症の予防作用が期待できる。今後は投与方法を腹腔内投与や静脈内投与など全身投与に切り替えての効果評価を検討している。
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