研究実績の概要 |
有転移淡明細胞型腎癌で2010年ー2019年までに山形大学で原発巣摘除を受けた臨床検体60検体を用いた遺伝子発現網羅解析を実施した。FFPE切片よりRNA抽出とQC判定を行い、NGS解析に耐えうる57検体を解析した。NSD1, FLT4, NPM1, TLX3, GABRA6, EBF1, ITK, ARHGAP26, CSF1R, PDGFRB, CD74, EGR1, CTNNA1, ACSL6, AFF4, IL3, IRF1, RAD50, SNCAIP, APC, FGFR4といった、TCGAデータベースを中心に5番染色体長腕の遺伝子コピー数増加が多く報告される標的遺伝子群のmRNA発現をTPM補正法を用いて評価した。上記21遺伝子のうち、腎癌で特に発現増加が報告され,すでに治療標的とした薬剤開発もされているVEGFAまたはVEGFBのレベルと同等もしくはそれ以上の、一般的に高発現を示すとして支障がないと考えられるものとしてCD74、EGR1、FLT4、NPM1の4遺伝子がピックアップされた。CSF1R、FGFR4、IRF1、RAD50、CTNNA1、PDGFRBの6遺伝子も、中等度発現は見られ、機能探索への可能性を示唆する結果であった。その他の11遺伝子は低発現またはほぼ無発現といった状態と推察された。FGFR4については、腎癌細胞株A498,769P,A704での蛋白発現増加をWesternblot法で確認され、他の腎癌細胞株ACHNでは発現は認めなかった。
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