研究課題/領域番号 |
21K16732
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
竹島 和美 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (90785396)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 精子選別 / 精子染色体解析 / 顕微操作 / 精子エクソソーム |
研究実績の概要 |
本研究は、男性不妊症の顕微授精に適応可能な精子の選別方法開発を目的としている。 妊娠可能性の高い精子の非侵襲的選別を可能とするバイオマーカーの同定に向け、精子から分泌され、受精機能と関連する因子の同定を試みる。そして、臨床アウトカムと紐づけて解析することで精子の受精能評価に適した非侵襲的臨床バイオマーカーの抽出を試みる。 2021年度においては、当施設において生殖補助医療を受けた患者夫婦より同意を得たうえで、余剰な精子検体の回収をさらに進め,臨床アウトカムと連結した検体を集め凍結保存できている。その中には重度な男性因子による不妊症患者を含んでおり、それらの検体に対して解析を行うことで精子の状態を示すバイオマーカーの同定に至ると考えている。 更に受精能の高い精子にはとても重要ながらこれまでその解析方法が実用化されていなかった、単一精子染色体解析方法の開発を進めた。その解析には、精子の回収・操作方法、DNAの抽出・解析方法が必要となるが、すでに過去に報告されている方法では再現性が低く50%以下の成功率であった。そのため、まず我々の持つ顕微操作技術を活用して解析可能なDNAの回収率100%を実現した。さらに、それに対して一般的な試薬を使用しつつ前処理を行ってから全ゲノム増幅を行ったところ染色体解析成功率も100%であった。今後はさらに検体を増やしてこの解析を進めることで、単一精子の染色体解析手法の確立を図る。同時に臨床アウトカムとの比較を行い、染色体自体が受精能を予測するマーカーとなりうるか否かも検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度で、精子選別のための指標の一つとして染色体解析方法を同定している。その手法開発のためにやや時間を要したため、実際の解析開始が当初の予定よりもやや遅れたものの、全体としての計画内では予定通りに進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらに検体の回収に努めるとともに、すでに構築した精子染色体解析方法を用いて精子の染色体と臨床アウトカムの比較を行う。さらに今回の染色体方法に対してより簡便・確実な手法となりえるように改良も図る。また、FACS、MACSなどの精子選別方法と比較することで染色体正常精子を非侵襲的に選別する方法の開発も目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回行った精子染色体解析手法の開発のために時間を要し、実際の解析開始がやや後ろ倒しとなった。そのために、解析費用がとして支出される分の額が次年度使用額として生じた。次年度はこの試験を用いて解析を進めるため、それによって消費される予定である。
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