研究課題/領域番号 |
21K16735
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
広重 佑 久留米大学, 医学部, 助教 (50647782)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 射精障害 / 精管 / 間質細胞 / FIB/SEM |
研究実績の概要 |
射精障害は男性不妊症の原因の1つであり、その解決は少子化の深刻な本邦において急務である。しかし、射精障害は性機能障害の中でも病態が不明な点が多く、未だ有効な治療法が確立されていない。精管間質細胞は平滑筋運動の調節に関与し、その異常は様々な臓器運動機能の障害を引き起こすことが知られていることから、いまだに有効な治療戦略が確立されていない射精障害の新たな治療ターゲットとなりうる可能性を秘めている。本研究ではマウス精管における精管間質細胞の免疫組織化学的解析に加えて、FIB/SEM を用いた三次元超微細構造解析を行い、射精障害モデル動物との比較・検討により、精管間質細胞の射精障害への関与を形態学的側面から明らかにし、射精障害の病態生理の解明に貢献することを目指すものである。本年度は正常マウスの精管間質細胞における免疫組織学的解析、電子顕微鏡観察を行ない、下記所見を得た。免疫組織染色で精管間質細胞は、粘膜固有層、平滑筋層、漿膜層に広く分布し、PDGFRαを発現していた。ほとんどのPDGFRα陽性間質細胞はCD34を発現していたが、上皮下層のPDGFRα陽性間質細胞はCD34を発現していなかった。さらに、PDGFRα陽性間質細胞同士はギャップ結合を介して互いに近接しており、周囲の組織や細胞にも近接していた。電子顕微鏡所見においても、同様の所見を認めた。また、PDGFRα陽性間質細胞の周囲では複数の細胞外小胞も観察された。このことから、PDGFRα陽性間質細胞がいくつかの亜集団を持ち、それぞれのPDGFRα陽性間質細胞は細胞間ネットワークを形成することが明らかとなった。PDGFRα陽性間質細胞は細胞間接触および細胞外小胞を介して神経、平滑筋だけでなく周囲の組織や細胞と細胞間情報伝達を行っている可能性が示唆された。上記内容を第66回日本生殖医学会総会において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していたマウス精管における精管間質細胞の免疫組織化学的解析および電子顕微鏡的観察については予定通り遂行し、学会発表まで終了している。また、これら並行してFIB/SEMによる三次元微細構造解析についても進めており、FIB/SEM撮影に際しての試料作成条件の探しとしての予備実験は終了し、現在は最も解像度が高く広範囲の観察が可能な条件を探している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
正常マウスにおいて行なった免疫組織学的解析および電子顕微鏡的観察に基づいて、前述の撮影条件を明らかにした後にFIB/SEMを用いて、三次元微細構造解析を行う。また、同様の解析をモデル動物を用いて行っていく予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
画像解析用のパソコンにおいて当初予定していた見積りより低価格での購入が可能であった。また、画像解析ソフトについて複数のトライアルを行い、最終決定することとしたために購入を次年度に行わなければならなくなった。
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