当初の研究計画に先立って、まずHSPC細胞と比較してCRPC細胞で発現が著明に亢進することのある1つのmicroRNAに着目して、解析を進めた。このmicroRNAは、 その前駆体であるpri-microRNAが、pri-microRNA-1とpri-microRNA-2の2つ、異なる染色体上にコードされていることがすでに分かっており、real time PCR法を 施行することで、CRPC細胞において発現が亢進するのは、pri-microRNA-2のほうであることが分かった。ちなみに文献的報告によると、このpri-microRNAは、乳癌細胞においても発現が変化することが分かっており、その詳細なメカニズムは不明だが、性ホルモンの発現レベルと深く関係するmicroRNAではないかと推測している。 次に、pri-microRNA-2の詳細な転写開始部位について、5'-RACE法を施行することで、突き止めた。その転写開始地点からは、さまざまな既知遺伝子のsplice variantが転写されていることが分かった。実際に、これらのsplice variantがHSPC細胞株と比較してCRPC細胞株において著明に発現亢進していることをRT-PCR法により確認することができた。 今後、これらの転写産物が治療抵抗性前立腺癌のバイオマーカーになりうるか検証していく予定である。
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