免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が使用可能になってから、腎細胞がんの全身治療はICIを軸にして行われるようになってきた。ICIはこれまでの分子標的薬単剤治療と比較して、完全奏功率が高く、効果が持続していくことが分かっている。しかしこのような高い抗腫瘍効果の恩恵を受けるのは一部の患者であり、免疫関連有害事象も問題となっている。そこで本研究では、腎細胞がん患者の末梢血免疫細胞をフローサイトメトリーで解析することによって、治療効果および免疫関連有害事象と関連する末梢血免疫細胞の量的・質的変化を明らかにすることで、臨床で必要とされているバイオマーカー探索と新たな治療標的の探索につなげていく。 2023年度は保存したICI投与前、投与3週後、投与3ヶ月後の末梢血単核球(Peripheral Blood Mononuclear Cells:PBMC)を用いてフローサイトメトリーにて解析を行い、治療効果、無増悪生存、全生存との相関を解析した。さらに、ICI投与前のPBMCおよびPBMCからビーズソーティングしたMonocyte分画を用いて単一細胞ごとの網羅的遺伝子発現解析を行った。これらをUnsupervisedにクラスタリングし、各クラスターと治療効果、無増悪生存、全生存との相関の解析を行い、無増悪生存率と相関するクラスターを見出した。今後は多数症例を使用し、このクラスターが治療効果を予測する因子になり得るか検証する必要がある。
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