本研究では、PDL1/PD1の糖鎖修飾の変化を検出することによる新規バイオマーカーの開発を目指したが、これは達成できなかった。しかし、臨床検体におけるPD-L1の発現意義について検討し、術前補助化学療法においてその変化に意義があることが示唆された。一般に筋層浸潤性膀胱癌においてPD-L1の発現は予後不良であるが、術前補助化学療法によってその発現が誘導されることを明らかにした。最近の大規模臨床試験でPD-L1発現が術後補助療法の有効性を予測するバイオマーカーであることが示唆されている。その点からも本研究は集学的治療を考える上での術前補助化学療法の有効性を示唆する重要な研究であると考えられる。
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