研究課題
転移性腎細胞癌に対して当院で抗PD-1抗体・Nivolumab治療を受けた患者50例を対象とした。完全奏功もしくは部分奏功が得られた患者を奏効群とし、疾患進行を認めた患者を非奏功群と定義した。病理標本からTissue microarray (TMA) を作成し、腫瘍微小環境の免疫染色を行った。また、免疫チェックポイント阻害薬治療前後の血漿を用いてLuminexを用いたmultiplexprotein arrayを実施した。更に、末梢血単核球を用いてflow cytometryにより各種免疫細胞の継時的変化を解析した。TMA解析では、非奏功群で腫瘍浸潤Foxp3+細胞の割合が有意に高頻度であることを見出した。また血漿解析では、奏功群で免疫チェックポイント阻害薬治療開始2週間後のeffector cytokineの有意な上昇を認めた。フローサイトメトリー解析では、非奏功群および奏功群のそれぞれにおいて、特定のexhausted markerを発現するCD4およびCD8 T細胞の割合が治療開始前後で有意に変化している事を同定し、これらの免疫サブセットは免疫チェックポイント阻害薬治療の直接の影響を受けていると考えれる細胞集団であると考えられた。我々は腎癌における免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を予測しうる早期バイオマーカーとして新規分子および細胞群を同定し、本研究の目的を達成した。今後将来的には、同定した非奏功メカニズムを治療標的とした新規併用薬の開発を目指す。
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