研究課題/領域番号 |
21K16751
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
池田 篤史 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (50789146)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / 視線計測 / 膀胱内視鏡検査 |
研究実績の概要 |
膀胱癌診療において、膀胱内視鏡検査は必須の処置であるが、実施する医師の知識や経験の差により、その診断精度にばらつきが存在する。本研究では、同一症例の膀胱内視鏡検査の動画を、経験の異なる医師らに観察させ、その際の視線計測(アイトラッキング)を行うことによる評価を行った。膀胱内視鏡検査の動画は、初発の筋層非浸潤性膀胱癌症例の術前のものを用いた。被験者は医学生1名、初期研修医2名、後期研修医2名、専門医6名とし、非接触式モニター用視線追尾・視線計測システムを用いて、観察中の視点座標と停留時間を取得した。結果は、視線の停留時間を考慮した視線の広がり具合を表す指標として、視点座標の平均座標を原点とした視線位置に停留時間を乗じた値の平均を算出し、比較した。専門医の結果を1.0とした相対比較では、医学生は0.78、初期研修医は0.79、後期研修医は0.87となり、専門医は他の群より広い範囲を網羅的に観察していた。膀胱内視鏡検査において、経験のある専門医は、リアルタイムに画面の広い範囲を効率よく観察していることが確認された。観察者の視線の可視化により、技量の評価だけでなく、技量向上にむけた教育的な活用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非接触式モニター用視線追尾・視線計測システムを用いデータ収集と解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
ウェアラブル型の視線計測装置を術者と助手が装着し、同時に同じモニターを観察することで、膀胱内の観察、切除の際の視線計測を行い、関心領域および注視時間の算出を行う。術者を後期研修医、助手を指導医である専門医の場合、術者が専門医で助手が後期研修医である場合のそれぞれについて、視線計測を行って解析することにより、経験の異なる医師間の差の同定を行う。 AIを利用した膀胱内視鏡検査支援システムのプロトタイプにおけるリアルタイム検出におけるリアルタイム検出の使用時と、使用しない場合との比較を行う。膀胱内観察時に、術者へ着目すべき領域へ視線を促すことになるため、同一症例においてこの機能の使用前後における視線の変化の確認を行うことにより医師への教育的な効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症により国際学会へ参加ができなかったこと、世界的な半導体不足によりパーソナルコンピューターやウェアブル機器の購入が計画通り行えなかった。今年度に購入予定である。
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